【三冊書評】檸檬 / いちご同盟 / りんごかもしれない

教養

『檸檬』梶井基次郎
『いちご同盟』三田誠広
『りんごかもしれない』ヨシタケシンスケ

『檸檬』は、「えたいの知れない不吉な塊」を心に抱いた“私”が、本屋の棚に爆弾をしかける話です。


ただし、爆弾と言ってもあの爆発する爆弾ではなく、それは八百屋で買ったレモン。


奇天烈な行動なのに、何故か少しだけ共感できる、ちょっと不思議な小説です。

『いちご同盟』は、主人公の繊細な少年 良一と、野球部のエース 徹也と、その幼馴染で入院をしている直子の三人の物語。


この小説には、素敵なセリフが沢山出てきます。なかでも僕が好きなのは、良一のお父さんのこの言葉。


「大人になり、中年になるにつれて、夢が、一つ一つ、消えていく。人間は、そのことにも耐えなければならないんだ」

理想と現実。歳を重ねると、現実の比重が重くなるなと感じ始めた三十路の僕です。

『りんごかもしれない』は、人気絵本作家 ヨシタケシンスケさんのデビュー作。


この絵本は、ある日学校から帰ってきた少年がテーブルの上にリンゴがあるのを発見したところから始まり、「このリンゴはもしかしたら、大きなサクランボの一部かもしれない」といった具合に、次々と想像を膨らませていくストーリー。


妄想の世界なら、僕たちはどこまでも行ける。妄想って、楽しい!と思える一冊です。

というわけで、今回は“くだもの”をテーマに三冊紹介しました。

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