人を操る?禁断?
なんだか物騒なことを書いているな…
このタイトルを見たとき、もしかしたらそんな感想を持つかもしれませんね。
でも、安心してください。
本書に書かれているのは、洗脳とかそういうことではなくて、文章によって読み手に行動を起こしてもらうためのテクニックです。
実際、この本は「セールスライティング」という、文章によって物を買ってもらう手法の教科書としてよく知られています。
ビジネスをする上で、セールスライティングのスキルはとっても役に立つと思うので、この本で僕と一緒に学んでいきましょう!
文章の力
本書は、こんな問いから始まります。
「あなたの思う、世界最高の美女とは?」
どんな女性が頭に浮かびましたか?
僕は思春期にめちゃくちゃ好きだった、宮崎あおいさんの顔がパッと思い浮かびました。
しかし、おそらくあなたは違う方を想像しているでしょう。
もっと言えば、10人いたら10人とも違う女性をイメージする可能性さえあります。
これこそが文章の持つ大きな力であると、著者は語ります。
そう。文章には、人に様々なイメージを浮かばせる力があるのです。
そして、そのイメージは行動を起こす原動力になります。
どういうことでしょうか?
本書の例を借りると、例えば自動車のセールスマンは試乗会の案内文で、「この車でどこへ行きたいですか?」「誰を乗せたいですか?」という言葉を使い、お客さんに「自分がその車に乗っている姿」を想像させるそうです。
イメージを膨らませたお客さんは、だんだん車が欲しくなってきて、案内に記載された試乗会に足を運んでしまいます。
このように、文章は読み手に想像をさせ、さらには行動を起こさせる力があるのです。
それでは、その力を最大限に活かすためにはどうすればよいのでしょう?
この本では、人を動かす文章を書くための3ステップとして、
を提示しています。
順番に解説していきますね。
「書かない」3原則
まず、文章を書くときの心がけとして、次の3原則が紹介されています。
あれこれ書かない
相手に何かを伝えたいとき、できるだけ詳しく、丁寧に書きたくなりますよね。
でも、あえて情報量を少なくすると余白ができて、読み手に想像してもらいやすくなるんです。
それを念頭に置いた上で、「自分が何を伝えたいか」ではなく、「相手にどう行動して欲しいか」を考えるのがポイントです。
きれいに書かない
綺麗で流れるような文が書きたい!
文章を書くとき、誰でもそう思いますよね。
でも、読み手に行動させたかったら、それは間違いです。
当たり障りのない綺麗なだけの文章よりも、不器用でも自分の感情がこもった文章の方が相手に響きます。
人を動かすのは「論理」ではなく、「感情」なのです。
自分で書かない
「自分で書かない」と聞くと、「えっ、ゴーストライターを使うの?」なんて思われるかもしれませんが、もちろん違います。笑
これは、「書くべき文章は自分の頭の中ではなく、相手の心の中にある」ということです。
文章を書くとき、第一に考えなくてはいけないのは「こうやって書いたら、こう行動してくれるかな?」ということ。
「自分」ではなく「読み手」の立場から文章を練らなければいけません。
7つのトリガー
人って、自分が期待するほどしっかりと文章を読んでくれないんです。
そこで、読んでもらうためには「相手の欲求を満たす」ことを意識する必要があります。
以下の「7つのトリガー」は、人が思わず読みたくなってしまう魅力的なキーワードです。
これらを使えば、相手が文章を読むように誘導し、さらには行動を促すこともできます。
興味
当然のことですが、人は自分の興味があることには惹かれます。
僕でいうと「読書」や「野球」について書かれた文章は、思わず読んでしまいます。
もし特定の誰かに文章を読ませたいのであれば、その人の趣味を徹底的に調べるのが効果的。
不特定の方へ向けた文章でも、ターゲットとする層が興味を持ちそうな事をリサーチすることで、同様の効果が得られますよ。
ホンネとタテマエ
社会の中で生きていくにあたり、本音と建前を使い分けることはよくありますよね。
この2つの間には「本当はこうありたい」「でも、こうしなければならない」というギャップが存在します。
そこで、隠された本音を見抜き、それを認めてあげることで、相手の信頼を得ることができます。
さらには、本音の「本当はこうしたい」という気持ちを刺激することで、相手の行動を促すこともできてしまいます。
悩み
人は悩みを抱えているとき、それを何とか解決しようとしますよね。
そう。「悩み」は人を動かす大きな原動力となるのです。
著者いわく、人の悩みの9割は「健康」「将来」「人間関係」「お金」に分類できるそう。
さらに、この4つに「年齢」を掛け合わせれば、ほぼ確実に相手の悩みを当てられるとのことですよ。
ソン・トク
人は、「得をする」よりも「損をしない」ことを好むそうです。
そこで、「損をしない」ことをアピールすれば、読み手は安心して行動に移すことができます。
このとき、「無料」というフレーズは最強のキーワードになります。
なぜなら、無料ならどうやっても「損」はしないからです。
他にも、デメリットをきちんと説明することで相手を安心させるというテクニックもあります。
みんな一緒
「赤信号みんなで渡れば怖くない」
なんて言葉がありますが、「みんな一緒」という状況は人を行動に駆り立てます。
社会心理学には「社会的証明」という言葉があり、簡単に言うと人は「みんながしていることは正しい」と思い込む習性があるみたいです。
これを利用して、「憧れのあの人も使っている」とか「みんな使ってるから、乗り遅れちゃいますよ」なんて言葉を使えば、相手の購買欲を刺激することができます。
認められたい
「承認欲求」という言葉を聞いたことがありませんか?
人は誰しも、相手から認められたいもの。
このようなフレーズは、承認欲求をくすぐるキラーワードです。
あなただけの
「あなただけに教えます」
なんて言われると、ちょっとドキッとしますよね。
このように「特別感」を出すと、心が動きやすくなります。
さらには、「数量限定!」とか「本日限り!」なんて言われてしまうと、今買わなきゃ!って気持ちになりますよね。
「特別感」+「希少性」は、相手を動かす強力な武器です。
5つのテクニック
さて、「書かない3原則」と「7つのトリガー」を学んだので、あとは文章を書き始めるだけですね。
ここで、書き方に関するテクニックが5つありますので、最後に紹介したいと思います。
書き出しはポジティブに
明るい調子で書き始めると、読み手はこちらに好感を持ち、先を読みたいと思ってくれます。
人と会うときに「初対面が大事」なんて、よく言われますよね。
文章も一緒です。
初めに好印象を与えて、相手の心を掴みましょう。
なんども繰り返す
同じ意味の言葉を文中で何度も繰り返すと、説得力が上がるそうです。
ただし、「全く同じ言葉」を使ってはいけません。
同じ言葉を繰り返すとくどくなり、相手も飽きてしまいます。
あくまで同じ「意味」の言葉を、語彙を駆使して文中で繰り返しましょう。
話しかけるように書く
「書かない」3原則で、「きれいに書かない」というのがありました。
キレイなだけの文章よりも、感情のこもった文章の方が相手に響くという話でしたね。
文章に感情を込めるためのテクニックとして「話しかけるように書く」というのがあります。
一番簡単なのは、まずは二人の会話文を台本のように書いて、それを文章化すること。
こうすれば、まるで話しかけているように書くことができますよ。
上げて、下げて、また上げる
文章はメリハリが無いと、読み手は飽きてしまいます。
テクニックの一つ目として「書き出しはポジティブに」がありましたが、中盤には「谷」を作ることも意識しましょう。
少しネガティブなことを書き、相手を不安にさせてから、最後にまたポジティブなことを書く。
こうすることで、読んでいる人の感情の起伏が激しくなり、心が動きやすくなります。
追伸をつける
あらゆる文章の中で、人の心に一番残るのは「追伸」部分。
追伸に書いたことは、いつまでも読み手の記憶に残り、無意識にそのことを考えてしまうらしいです。
なので、追伸部分に「相手にしてもらいたいこと」を書くことで、行動を促すことができます。
あとがき
文章が持つ大きな力をお分かりいただけたでしょうか?
もし、ここで紹介した文章術に興味を持っていただけたなら、ぜひ本書を手に取ってみてくださいね。
あなたがこの文章術を身につけ、さらにスキルアップすることを願っています。