落語のネタ

落語「目黒のさんま」のあらすじと豆知識を紹介!

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「何だ、この魚は!下々の者たちは、いつもこんなに美味いものを食べているのか……?」

「目黒のさんま」のあらすじ

話は、殿様が屋敷で暇を持て余しているところから始まります。

殿様

うーむ、退屈だ……。

殿様

おい、何か良い暇つぶしはないか?

家臣

そうしましたら、本日は気持ちの良い秋晴れですので、馬の遠乗りなどいかがでしょう?

殿様

良いな!

殿様

それでは出かけよう!

さっそく馬に飛び乗り、一目散に駆け出した殿様。

それを見た家臣たちは、慌てて殿様の後を走って追っていきます。

こうして殿様は、風光明媚な農村、「目黒の里」にやってきました。

家臣

……殿、お待たせしました。

殿様

遅かったな!

家臣

申し訳ございません。

殿様

まぁよい。

殿様

それより、腹が減った!

殿様

弁当を出せ!

家臣

殿。急いで屋敷を飛び出したもので、弁当の用意はございません。

殿様

そうなのか。うーむ……。

そこへ、どこからか香ばしい香りが漂ってきました。

殿様

おい、この匂いは何だ?

家臣

これは、サンマを焼く匂いかと……。

殿様

サンマ? それは何だ?

殿様は、サンマのことを知りません。

というのも、殿様のような位の高い人にとって、魚といえば「鯛」のこと。

サンマやイワシなどの庶民が食べる魚は、「下魚(げうお)」と呼ばれ、殿様の食膳には並びませんでした。

家臣

殿。サンマは、下々の者が食す、下魚にございます。

殿様

魚か!よし、ここに持って参れ!

家臣

恐れながら、サンマなどは、殿のお口に入れるべき魚ではございません。

殿様

黙れ黙れ!

殿様

いざ合戦のとき、「あれは食えるがこれは食えぬ」などと言っていて勝てるか!

殿様

余は、サンマとやらを喰らうぞ!

殿様

早く持って参れ!

そう言われた家臣は、匂いを頼りに、サンマを焼いている家を探しに走ります。

すると、ボロボロの家の庭から、煙が上がっているのを発見。

家臣はそこへ駆け寄り、庭にいた男に声をかけます。

家臣

ご免。

村人

あ、これはどうも。

家臣

今、我々は、あの丘の上で休んでいるのだが……。

家臣

この香りを嗅いだ殿が、サンマを食したいと申しておる。

家臣

すまぬが、そのサンマを譲ってはくれぬか?

村人

ええ、構いませんよ。

村人

うちで採れた大根をおろして、醤油をかけますので、少しお待ちを。

こうして、皿に盛られたサンマを手に、家臣は急いで殿様のもとに戻ります。

家臣

殿、お待たせいたしました!

殿様

うむ。

殿様

これが……サンマか……。

見たことのない、黒くて細長い奇妙な魚を目の前にして、少し怯んだ様子の殿様。

しかし、意を決して、恐る恐るサンマを口に運ぶと……

殿様

……美味い!!

殿様

何だ、この魚は!

殿様

下々の者たちは、いつもこんなに美味いものを食べているのか……?

こうして、殿様はサンマをペロリと平らげました。

殿様

美味であった。

殿様

残りの頭と骨は、その方が食べて良いぞ。

家臣

ありがたき幸せ。

家臣

……実は、殿。ひとつ、お願いがございます。

殿様

なんだ?

家臣

目黒に来て、殿がサンマを召し上がったことは、どうか他の者にはご内密に……。

殿様

なぜだ?

家臣

殿に、かような下魚を食べさせたと知れれば、私はこっぴどく叱られます。

殿様

それは可哀想だ。

殿様

よし、サンマのことは、決して口外せぬぞ。

さて、この目黒での一件以降、殿様はサンマのことが忘れられません。

寝ても覚めても、愛しいサンマの姿が頭に浮かびます。

しかし、相変わらず食膳に並ぶのは、鯛ばかり。

こうして、不満が溜まる一方だった殿様は、あるとき、親戚の屋敷に招待されました。

屋敷の料理人

本日は、よくお越しくださいました。

屋敷の料理人

お好みのお料理を、何でもご用意いたしますが……何をご所望ですか?

殿様

余は、サンマに会いたい。

屋敷の料理人

サンマ……ですか?

殿様

うむ。サンマだ。

そう言われた料理人は、大慌て。

この日のために、豪華な食材を取り揃えていたものの、下魚のサンマは用意していません。

そこで、大急ぎで日本橋にある魚市場まで駆けていき、サンマを仕入れてきました。

息を切らして屋敷に帰ってきた料理人は、すぐに調理に取り掛かります。

まずは、サンマの脂で殿様が腹を壊してはいけないので、じっくり蒸して脂を落としました。

それから、身に付いている沢山の骨を、一本一本、丁寧に毛抜きで抜き取っていきます。

最後に、パサパサでグズグズになったサンマの身を、団子に丸めて、椀ものに仕上げた料理人。

屋敷の料理人

お待たせいたしました。

屋敷の料理人

サンマでございます。

目の前に運ばれてきたお椀を見つめ、小首を傾げた殿様。

殿様

これは……サンマか?

殿様

余の知っているサンマとは、少し違うようだが……。

屋敷の料理人

確かにサンマでございます。

殿様

……そうか。

殿様が疑いながらお椀の蓋を開けると、かすかに漂ってくるサンマの香り。

殿様

おお!これは、サンマの香りだ!

殿様

サンマよ、やっと会えたな……元気にしておったか?

目には涙を浮かべながら、殿様は、サンマの団子をゆっくりと口へと運びましたが……

その味が、不味いのなんの。

殿様

おい!なんだ、このサンマは!

殿様

どこから取り寄せた?

屋敷の料理人

日本橋の魚河岸でございます。

殿様

なに、日本橋?

殿様

それはいかん。

「サンマは目黒にかぎる」

ー完ー

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「目黒のさんま」の豆知識

  • このネタがもとになって、今では目黒で「さんま祭り」が催されている。
  • 十代目 金原亭馬生が得意としていた。
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