落語のネタ

落語「青菜」のあらすじ・オチ・豆知識を紹介!

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「鞍馬山より牛若丸が出でまして、その名を九郎判官……」

「青菜」のあらすじ

話は、植木屋がお客さんの庭で作業をしているところから始まります。

旦那

植木屋さん。精が出ますなぁ。

植木屋

ああ、どうも。旦那ですか。

旦那

植木屋さんは、酒をおあがりかな?

旦那

よかったら、こっちで休みになさらんか。

植木屋

いいんですかい?

植木屋

そしたら、お言葉に甘えて……。

旦那

さあさあ、こちらへどうぞ。

旦那

おーい、奥や。

旦那

お酒を持ってきてあげてください。

旦那がそう声をかけると、奥さんは酒を持ってきてくれました。

旦那

これは、大阪の友人から届いた「柳影(やなぎかげ)」です。

柳影とは?

みりんと焼酎を1:1で割った、甘口の酒。江戸では「直し」と呼んだ。

植木屋

ほう。

植木屋

それでは、さっそく……。

植木屋

これは、美味いですなぁ。

旦那

そう言ってもらえると嬉しいよ。

旦那

この「鯉のあらい」も、どうぞ。

植木屋

ええ、いただきます。

植木屋

……これも、よく冷えてて美味いなぁ。

旦那

そうかい、そうかい。

旦那

ときに、植木屋さんは、菜をおあがりかな?

植木屋

菜っ葉ですか?

植木屋

実は、大好物なんで。

旦那

それでは、ご馳走しよう。

旦那

奥や。菜を出してあげてください。

旦那の妻

……旦那さま。

旦那

ん、なんだ?

旦那の妻

鞍馬山より牛若丸が出でまして、その名を九郎判官……。

旦那

では、義経にしておきなさい。

植木屋

……?

旦那

いやぁ、植木屋さん。

旦那

すまないが、菜はもう食べてしまって無いそうだ。

旦那

誠に失礼したな。

植木屋

ええ、それは全然構わないんですが……。

植木屋

さっきお二人が言ってた、「鞍馬山」とか「義経」って、何のことです?

旦那

ああ、あれは私と家内で使ってる、隠し言葉だよ。

旦那

菜はもう食ってしまったから、家内は「名は九郎」、「菜は食ろう」と教えてくれた。

旦那

だから、私は「よしとけ」という意味で、「義経にしなさい」と応えたってわけだ。

植木屋

……なるほどねぇ。

植木屋

あ、旦那。あっしの柳影も「義経」になりましたんで、このへんで失礼しますね。

旦那

おや、そうかい?

旦那

どうも、ご苦労さまでした。

こうして植木屋は、自分の長屋に帰ってきます。

植木屋

おう、帰ったよ。

植木屋の妻

おかえりなさい。

植木屋

今日の晩飯は、なんだい?

植木屋の妻

イワシだよ。

植木屋

イワシかぁ。

植木屋

さっき旦那の家でご馳走になったのとは、えらい違いだな……。

植木屋の妻

なに、お客さんのとこで、何かいただいたの?

植木屋

ああ、それがよ……。

ここで植木屋は妻に、先ほどご馳走になったことと、例の隠し言葉のことを話します。

植木屋の妻

へぇー。

植木屋の妻

名を食ったから「名を九郎」、よしときなさいで「義経にしなさい」ねぇ。

植木屋

お前には、そんな芸当できないだろ?

植木屋の妻

あたしだって、それくらいはできるさ。

植木屋

本当かよ?

植木屋

……お、向こうから熊の野郎が来やがった!

植木屋

あいつに酒を飲まして、さっきの隠し言葉をやろうぜ。

植木屋の妻

よしときなよ。

植木屋の妻

お酒は高いんだから……。

植木屋

ケチケチすんなよ。

植木屋

いいか?お前は俺が呼ぶまで、次の間にいるんだぞ。

植木屋の妻

この長屋は、ひと部屋なんだから、「次の間」なんてないじゃないか。

植木屋

うーん……そしたら、押入れに入ってろ!

植木屋の妻

いやだよ。

植木屋の妻

こんなに暑いのに……。

植木屋

いいから早くしろ!

植木屋

熊が来ちまうだろ?

植木屋の妻

ええ?

こうして、妻を無理やり、押入れに入らせた植木屋は、友達の熊五郎に声をかけます。

植木屋

やあ、植木屋さん。

植木屋

精が出ますなぁ。

熊五郎

植木屋ぁ?

熊五郎

植木屋は、お前じゃねえか!

熊五郎

俺は大工だ。

植木屋

そうでした、そうでした。

熊五郎

なんだよ、その喋り方は?

植木屋

まぁ、とにかく、精が出ますなぁ。

熊五郎

いや実は、精なんか出てないんだよ。

熊五郎

さっきまで昼寝してたんだ。

植木屋

そ、そうですか……。

植木屋

ときに熊さんは、お酒をおあがりかな?

熊五郎

なんだよ、あらたまって。

熊五郎

俺が酒好きなのは、お前も知ってるだろ?

植木屋

これは、大阪の友人から届いた「柳影」です。

植木屋

どうぞ、おあがり。

熊五郎

えっ、いいのかい?

熊五郎

「柳影」って、こっちで言うところの「直し」だろ?

熊五郎

じゃあ、遠慮なく……って、これは普通の酒じゃねえか!

植木屋

まあまあ。

植木屋

この「鯉のあらい」も、どうぞ。

熊五郎

鯉のあらい?

熊五郎

どこからどう見ても、イワシの塩焼きじゃねえか!

植木屋

まあまあ。

植木屋

ときに、熊さんは、菜をおあがりかな?

熊五郎

俺は菜は嫌いだ。

植木屋

えっ?

熊五郎

子どもの頃から、菜は大嫌いなんだよ。

植木屋

それは、ひでえじゃねえか。

植木屋

酒飲んで、イワシを食って、いまさら菜は嫌いだなんて……。

植木屋

嘘でも、好きだと言ってくれよ!

熊五郎

なんだよ、それ?

熊五郎

……わかったよ。菜は好きだ。

植木屋

それでは、ご馳走しよう。

植木屋

奥や。菜を出してあげてください。

熊五郎

奥?

熊五郎

そういや、今日は奥さんは留守なんだな?

植木屋

おーい、奥や!

植木屋に呼ばれた妻は、満を持して押入れから出てきます。

植木屋の妻

……旦那さま。

熊五郎

びっくりした……。

熊五郎

そんなとこに入って、何してんだい?

熊五郎

汗びっしょりじゃねえか!

植木屋の妻

鞍馬山より牛若丸が出でまして、その名を九郎判官、義経

植木屋

え、義経⁉︎

植木屋

あの、えーと……そしたら……。

「弁慶にしておけ」

ー完ー

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「青菜」のオチ(サゲ)

オチのセリフに出てくる「弁慶」は、上方の言葉では「人からご馳走されること」を意味しました。

その由来は、奢ってくれる大尽を「義経」に見立て、その近くにいる取り巻きを「弁慶」と呼んだことだそうです。

「青菜」の豆知識

  • もともとは上方落語で、三代目柳家小さんが江戸に移した。
  • 昔は、「弁慶」の題でも演じられた。
  • 原話は、『当世話』という本に載っている無題の話だとされる。
  • 五代目 柳家小さんが得意とした。
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