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落語「火焔太鼓」のあらすじ・オチ・豆知識を紹介!

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「あれは火焔太鼓と申してな。世に二つとない名器だそうだ」

「火焔太鼓」のあらすじ

背景(大通り・昼)

この話の主人公は、商売下手な道具屋の「甚兵衛」。

物語は、彼が朝市で商品を仕入れて帰ってくるところから始まります。

甚兵衛

ただいま。

甚兵衛の妻

お帰りなさい。

甚兵衛の妻

何か、良い物あった?

甚兵衛

ああ、太鼓を仕入れてきたよ。

甚兵衛の妻

なんだい、これは。

甚兵衛の妻

ずいぶん汚い太鼓だねぇ……。

甚兵衛の妻

いくらしたの?

甚兵衛

一分ニ朱。

一分ニ朱の価値

今の価値に換算すると、3万8,000円くらい。

甚兵衛の妻

ええっ⁉︎

甚兵衛の妻

一分ニ朱もしたのかい?

甚兵衛の妻

こんな太鼓、店に出したって売れやしないよ!

甚兵衛

売れるよ!

甚兵衛

俺が売ってみせるよ!

甚兵衛

おい、定吉ー!

甚兵衛

これを表に持ってって、埃を落としておいてくれ。

そう頼まれた小僧の定吉は、はたきで太鼓を叩きはじめます。

すると、軽く叩いただけなのに、ドンドンと大きな音が響きました。

その音を聞いて、武士が訪ねてきます。

武士

ご免。

甚兵衛

はい、いらっしゃいませ。

武士

今、太鼓を叩いておったのは、この店か?

甚兵衛

ええ。

武士

実は今、わが殿が駕籠の中で音を聴き、どのような太鼓か見たいと仰せである。

武士

悪いが、太鼓を屋敷まで持参してもらいたい。

甚兵衛

へい、かしこまりました。

武士は屋敷の場所を伝えると、足早に立ち去っていきました。

甚兵衛

おい、聞いたか?

甚兵衛

もしかしたら、殿様が買ってくれるかもしれねえぞ?

甚兵衛の妻

バカ言ってんじゃないよ。

甚兵衛の妻

こんな汚い太鼓を殿様に見せたら、「無礼者!」って怒られて、松の木に縛られちまうよ。

甚兵衛

ええっ⁉︎

甚兵衛

それなら、行くのをよそうかな……。

甚兵衛の妻

「行く」って言っちゃったんだから、行かなくても怒られるよ!

甚兵衛の妻

まぁ、お怒りを買わないように、なるべく頭を低くして、「売ってやろう」なんて気持ちは少しも出さないようにすることだね。

甚兵衛

……わかった。

甚兵衛

じゃあ、行ってくるよ。

こうして、とぼとぼと大名屋敷へと向かった甚兵衛。

門番に要件と名前を告げると、先ほど店に来た武士のところに案内されました。

武士

おお、最前の道具屋か。

武士

こちらに上がれ。

甚兵衛

いえ、私はもう帰ろうと思ってるんで……。

武士

何を言っておるのだ。

武士

早く部屋に入って、太鼓を見せてくれ。

甚兵衛

あの……太鼓を見ても、怒らないでくださいね?

武士

無論だ。

甚兵衛

これです。

武士

これは、ずいぶんと年季が入った品だな。

甚兵衛

ええ。

甚兵衛

年季に関しては、どんな太鼓にも負けません。

武士

妙なことを自慢するな。

武士

では、ちと拝借するぞ。

そう言って、武士は甚兵衛の太鼓を持って、殿様に見せに行き、しばらく経ってから戻ってきました。

武士

殿に見せて来たぞ。

甚兵衛

……怒ってませんでした?

武士

たいそう御意に召された。

武士

よかったな、お求めくださるそうだぞ。

甚兵衛

ええっ⁉︎

武士

売ってくれるな?

甚兵衛

も、もちろんです!

武士

それでは、いくらならば、あの太鼓を手放すか?

甚兵衛

えーっと……いくらぐらいなんでしょう?

武士

それをお主に聞いておる。

武士

遠慮せず、手一杯に申してみよ。

甚兵衛

えーっと……じゃあ、10万両!

武士

それは高すぎる。

甚兵衛

ですよね。

甚兵衛

でも、あなたが負けろって言えば、いくらでも負けますよ!

武士

そんな商売があるか。

武士

……ふむ。

武士

それでは、300両でどうだ?

甚兵衛

さ、300両⁉︎

300両の価値

今の価値に換算すると、3,000万円くらい。

武士

ああ。不足か?

甚兵衛

300両って、1両の小判が300枚ってことですよね?

武士

何を当たり前のことを申しておる。

武士

どうだ、300両で売るか?

甚兵衛

売ります、売ります!

甚兵衛

でも、どうして、あんな汚い太鼓に300両も出していただけるんです?

武士

なんだ、その方は知らぬのか。

武士

あれは「火焔太鼓」と申してな。

武士

世に二つとない名器だそうだ。

甚兵衛

そ、そうだったんですね。

こうして、武士から300両を受け取った甚兵衛は、あまりの出来事にふわふわした気持ちで家に帰ってきます。

背景(大通り・昼)
甚兵衛

た、ただいま……。

甚兵衛の妻

おかえり。

甚兵衛の妻

木に縛られなかったかい?

甚兵衛

あ、ああ。

甚兵衛

あの太鼓、売れたよ。

甚兵衛の妻

へぇー、それは良かったね。

甚兵衛の妻

いくらになったんだい?

甚兵衛

300両。

甚兵衛の妻

へ?

甚兵衛

300両になったよ!

甚兵衛の妻

300両って、1両の小判が300枚の?

甚兵衛

何を当たり前のことを言ってんだ!

甚兵衛

ほら、これを見てみろ!!

甚兵衛の妻

まぁー!

甚兵衛の妻

よく、あんなに汚いものが、そんなに高く売れたね?

甚兵衛

ああ。やっぱり、音のするものに限るな!

甚兵衛の妻

そうだね!

甚兵衛

だから今度は、半鐘を仕入れてこようと思ってんだ!

甚兵衛の妻

いや、半鐘はいけないよ。

「おじゃんになるから」

ー完ー

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「火焔太鼓」のオチ(サゲ)

最後のセリフの「おじゃんになる」は、「物事や計画がダメになってしまう」という意味。

この言葉の由来は、火事が鎮火したときに、やぐらに取り付けられている半鐘を「ジャンジャン」と2回鳴らしたことだと言われています。

「火焔太鼓」の最後は、次は半鐘を仕入れてきて儲けようとしている甚兵衛に対し、奥さんが「それは上手くいかないよ」とたしなめる、というオチでした。

「火焔太鼓」の豆知識

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