落語のネタ

落語「三方一両損」のあらすじと豆知識を紹介!

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「俺のもんじゃねえ!」「お前のもんだろ!」

「三方一両損」のあらすじ

背景(大通り・昼)

話は、左官屋の金太郎が、道を歩いているところから始まります。

金太郎

ん?

金太郎

何か蹴飛ばしたと思ったら、財布じゃねぇか。

中を確認すると、入っていたのは3両と「神田竪大工町 吉五郎」という書き付け。

金太郎は、この財布を持ち主の吉五郎へ届けてやることにしました。

そうして、近所の人に尋ねながら、ついに吉五郎の家にたどり着きます。

金太郎

おう。勝負しろい。

吉五郎

なんだ、てめえは?

金太郎

俺は左官の金太郎だ。

金太郎

お前、財布を落としやがったろ?

金太郎

拾ってやったから、受け取りな。

吉五郎

余計なことをしやがって。

金太郎

なんだと?

吉五郎

こちとら、金が無くなって、サッパリしてたとこなんだ。

吉五郎

財布だけは受け取ってやるが、中の金は全部お前にくれてやる。

金太郎

ふざけんな!

金太郎

こっちは、金が欲しくて届けてやったんじゃねぇんだ!

金太郎

お前の金なんだから、おとなしく受け取りやがれ!

吉五郎

俺のもんじゃねえ!

金太郎

お前のもんだろ!

吉五郎

違うね!

吉五郎

俺の懐を嫌って飛び出しちまうような不実な金は、俺のもんじゃねえんだ!

金太郎

なにをグズグス言ってやがる!

金太郎

しまいには、ぶん殴るぞ!

吉五郎

おうおうおう!

吉五郎

やれるもんなら、やってみやがれ!

金太郎

よーし!

こうして大喧嘩を始めた、金太郎と吉五郎。

騒ぎを聞きつけた長屋の大家が、仲裁に入ります。

吉五郎の大家

おいおい、やめないか!

金太郎

誰だ、お前は?

吉五郎の大家

ここの大家だよ!

吉五郎の大家

おい、吉公。一体、何があった?

ここで吉五郎は、喧嘩になった経緯を大家に話します。

吉五郎の大家

それは、吉公が悪いぞ。

吉五郎

なんだと?

吉五郎の大家

受け取りにくい気持ちはわかるが、一度は貰って、明日にでも手土産を持って礼に行くのが人の道ってもんだ。

吉五郎

何を言ってやがるんだ、このクソッタレ大家!

吉五郎の大家

世の中に、糞を垂れない大家がどこにいるんだい?

吉五郎の大家

金太郎さん。見てのとおり、こいつはバカな男なんです。

吉五郎の大家

後日、私も一緒に謝りに伺いますので、今日のところはお引き取りいただけませんか?

金太郎

……わかりました。

金太郎

おう、お前!覚えてやがれよ!

吉五郎

何言ってやがる!

吉五郎の大家

さあさあ、早く帰っとくれ!

こうして渋々、自分の長屋に帰ってきた金太郎。

金太郎の大家

おう、金太郎じゃねえか。

金太郎

なんだ、大家か。

金太郎の大家

髪と着物がボロボロだが、何があった?喧嘩か?

金太郎

喧嘩だよ。

金太郎の大家

いいねえ!俺は喧嘩が大好きだ!

金太郎の大家

何があったか、詳しく聞かしてくれ!

仕方がないので、金太郎は、さっきの出来事を大家に話します。

金太郎の大家

それでお前、「帰れ」と言われて、大人しく帰ってきたのか?

金太郎の大家

情けない奴だな!

金太郎

なんだと?

金太郎の大家

謝りに来るのを黙って待ってないで、こっちからお奉行様に訴えてやれ!

金太郎の大家

俺が願書を書いてやる!

こうして、金太郎と吉五郎の喧嘩は、奉行所で裁かれることに。

このときの奉行は、かの有名な大岡越前。

金太郎と吉五郎の2人は、さっそく奉行所に招集されました。

大岡越前

吉五郎。

大岡越前

過日、取り落とした財布を、これなる金太郎が親切にも届け遣わしたにも関わらず、それを受け取らぬのみならず、乱暴にも打擲(ちょうちゃく)に及んだというのは誠か?

吉五郎

ええ、間違いありません。

吉五郎

金が無くなってサッパリしてたら、この馬鹿がお節介にも、財布を拾って持ってきやがったんです。

吉五郎

「中に入ってる3両は、お前にやる」と言ってるのに、無理に押し付けてきやがったんで、それがきっかけで喧嘩になりました。

大岡越前

面白いな。

大岡越前

では、金太郎。

大岡越前

なぜ、吉五郎より3両を貰い置かなかった?

金太郎

大将、冗談言っちゃいけません。

金太郎

あっしは、3両なんて金を黙って貰って、のうのうと帰るような了見は、これっぽっちもねぇんです。

金太郎

そんな了見なら、俺はとうの昔に立派な親方になってらぁ。

金太郎

こちとら、「なんとかして親方にはなりたくねぇ」「人間、出世するような災難に遭いたくねぇ」と思って、毎日、金比羅様を拝んでるんだい!

大岡越前

両名、金子(きんす)は要らんと申すか。

大岡越前

しからば、この越前守が預かりおくが、それでよいか?

金太郎

ああ、そのほうが有難いや。

吉五郎

ぜひ、そうしてください。

大岡越前

良き了見である。

大岡越前

ついては、両名に改めて、褒美として、2両ずつ下げ渡す。

大岡越前

よって、この度の裁きは、「三方一両損」とする。

金太郎

三方一両損?

大岡越前

吉五郎が持っていたのが3両。

大岡越前

金太郎が拾ったのが3両。

大岡越前

そして今、奉行が預かったのが3両。

大岡越前

これに、この越前守が1両を加え、両名に2両ずつ褒美を遣わせば、三方が一両ずつの損となるであろう。

吉五郎

なるほど。

大岡越前

これにて、一件落着。

大岡越前

早朝からの調べで、空腹であろう?

大岡越前

両名に膳部を取らせる。

奉行の指示によって、金太郎と吉五郎の前には、豪華なお膳が並びました。

金太郎

ありがてえ!ご馳走だ!

吉五郎

腹が裂けるほど食ってやろう!

大岡越前

こらこら。

大岡越前

いくら空腹だからとて、一時に食すと、体に毒だぞ。

金太郎

大丈夫だよ、お奉行様。

金太郎

多かぁ(大岡)食わねぇ。

吉五郎

おうよ。

「たった一膳(越前)」

ー完ー

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「三方一両損」の豆知識

  • このような大岡越前の裁判をモチーフにした噺は、「大岡政談」と呼ばれる。
  • ただし、大岡政談の大半は史実とは異なる、フィクションとされる。
  • このネタは、八代目 三笑亭可楽が得意としていた。
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