「二本差しが怖くて、田楽が食えるかよ！鰻の蒲焼きなんざ、5本も6本も差してらぁ！」
「たがや」のあらすじ
この日は、隅田川の花火大会。
両国橋は、見物客でごった返していました。
おお！
上がった、上がった！
た〜ま屋ぁ〜ぃ！
そこへ、馬に乗った武士がお供の侍と従者を連れて、橋を渡ろうとします。
おい、端に寄れ！
さあ、寄れ寄れ！
◆
ちょっと、押すなよ！
仕方ねえだろ。
この橋を、馬で通ろうって奴がいるんだから。
誰だよ！そんなことする奴は！
お侍だよ。
……なら、仕方ねえ。
さて、その侍とは逆の方向から、たが屋が道具箱を担いでやってきます。
桶や樽の「たが」を直す商売のこと。「たが」は、竹を割いて輪っか状にしたもので、桶や樽の外側に付けて使う。
こうして、侍とたが屋は、橋の真ん中で出くわしました。
おい、端に寄れ！
は、はい！
しかし、たが屋は、大きな道具箱を担いでいることもあり、ごった返す橋の上では、あまり身動きを取れません。
たが屋がモタモタしているのに痺れを切らしたお供の侍は、彼のことを突き飛ばします。
すると、たが屋は道具箱を落としてしまい、その拍子に中から、巻いてあった「竹のたが」が解けて勢いよく飛び出し、馬上の武士の笠を弾いてしまいました。
無礼者！
屋敷まで付いてこい！
か、勘弁してください！
屋敷で打ち首にするつもりでしょう？
ぐだぐだ言ってないで、さっさと来い！
……どうしても、斬るってんですかい？
そうだ。くどいぞ！
……この丸太ん棒！
へ？
血も涙もねえ、目も鼻も口もねえ奴だから、丸太ん棒ってんだ！
無礼なことを申すな！
この二本差しが目に入らぬか！
二本差しが怖くて、田楽が食えるかよ！
鰻の蒲焼きなんざ、5本も6本も差してらぁ！
たが屋が啖呵を切るのを見ていた馬上の武士は、お供の侍に「斬り捨てろ」と指示を出します。
さっそく侍は刀を抜きますが、ろくに手入れをしていなかったため、刀身は錆だらけ。
やっと刀を抜いて斬りかかったものの、たが屋はそれをひょいとかわして、腕に噛みつきました。
たまらず、刀を落としてしまった侍。
たが屋はその刀を拾い上げ、侍を斬りました。
おお！たが屋が勝った！
偉いぞー！
あいつは、俺の親戚なんだ！
これを見た馬上の武士は、従者に預けていた槍を手に取ると、たが屋と正面から向き合います。
「もうどうにでもなれ」と覚悟を決めた、たが屋。
侍が槍を突き出してくると、無我夢中で刀を振り回します。
すると、偶然良いところに当たり、槍は折れてしまいました。
慌てて刀を抜こうとする侍。
そこへたが屋が飛び込んで、勢いよく刀を振ると、侍の首が飛びました。
おお！
上がった、上がった！
「た〜が屋ぁ〜ぃ！」
ー完ー
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「たがや」のオチ（サゲ）
もともとは「侍」ではなく、「たが屋」の首が飛ぶ噺だったそうで、立川談志はその本来のかたちでサゲていました。
談志いわく、「日本人の判官贔屓という性根を平気で正面に出してこられると、照れる。駄目」とのこと。
「たがや」の豆知識
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まず注目すべきは、声優陣の豪華さ。
- 関智一：スネ夫（ドラえもん）etc.
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