「あーあ、なんだか最近、仕事が面白くないな。」
なんて思ったこと、ありませんか?
僕は社会人3年目のとき、全く同じことを思っていました。
たった一度きりの人生。せっかくだったら、面白い仕事をしたいですよね。
もし、あなたが本を読むことが好きなら、「司書」になってみませんか?
僕は司書へ転身して4年間が経ちましたが、この仕事、とっても面白いですよ。
今では天職だとさえ思っています。
この記事では、そんな僕が「そもそも司書って何?」というところから、「司書資格の取り方」「司書として働く方法」まで詳しく解説していきます。
司書とは
司書と図書館員
そもそも「司書」という言葉は、どういう意味だか知っていますか?
司書は、図書館で専門的な仕事をするための「資格」を指す言葉です。
この資格は、図書館法という法律に規定されているので、国家資格ということになりますね。
国家資格と言われると、途端にかっこよく思えませんか?
この資格を持って図書館で働いている人たちこそ、司書なのです。
それでは、図書館で働いている人全員が司書なのかというと、それはちょっと違います。
なかには資格を持っていない方もいるので、そのような人たちは「図書館員」とか「図書館スタッフ」と呼ぶのが正確ですね。
司書の正式名称
もしかしたら、「図書館司書」という言葉も聞いたことがあるかもしれませんね。
かくいう僕も自分の職業を、
「図書館司書やってます」
と名乗ります。
しかし、司書の正式名称はあくまで「司書」。
“図書館”という言葉は要りません。
なので、履歴書などの書類に記入するときには「司書」とだけ書いておいてください。
それでは、なぜ僕が「図書館司書」と名乗っているかというと、「司書」だけではピンとこない方もいるからです。
「し、、、しょ、、、、?」
となってしまうと、結局、
「あ、図書館で働いてます。」
なんて説明するハメになるので、はじめから分かりやすく「図書館司書」と名乗っています。
司書補
司書に似た資格として、「司書補」というものがあります。
司書補はその名の通り、司書を“補助”するための資格です。
司書よりも、資格を取るのが簡単なのが特徴ですね。
ただ、僕は今まで司書補を持っているという方には会ったことがありません。
図書館で働くのであれば、司書補ではなく司書を目指すのが一般的でしょう。
司書教諭と学校司書
「司書」に似たもう一つの資格として、「司書教諭」というものもあります。
この資格は、学校の図書館で専門的な仕事をするためのものです。
ここで注目していただきたいのが、“教諭”という言葉。
そう、司書教諭は学校の先生のための資格なのです。
教員免許を取る過程で取ることが多い資格なので、司書とは全く別物と考えた方が良いかもしれませんね。
ここであなたは、学校の図書室で本を貸してくれた人を想像するかもしれません。
しかし、たぶんその人は司書教諭ではありません。
学校の図書館にいる人は、「学校司書」であることが多いです。
ちょっとややこしいですが、学校司書は司書教諭とは別物で、学校図書館の専門スタッフとして雇われています。
それでは、司書教諭はどこにいたのでしょう?
司書教諭は一般的に“専任”ではなく、他の授業を担当しながらの“兼任”であることが多いです。
なので、もしかしたら、あなたが授業を受けていた国語の先生とかが司書教諭だった可能性があります。
司書資格の取り方
それでは、ここからは司書資格の取り方について説明していきます。
司書資格を取るには、3つの方法があります。
- 大学で指定科目を履修して卒業
- 通信制大学で指定科目を履修する
- 司書講習を受ける
大学で指定科目を履修して卒業
一番手っ取り早いのは、大学で勉強しながら司書に必要な科目も受講してしまうことです。
多くの大学では、「教職課程」みたいな感じで「司書過程」というカリキュラムがあるはずなので、これを受講すればOKです。
全ての科目を履修した上で卒業をすれば、晴れて司書資格ゲットです。
通信制大学で指定科目を履修する
「いやいや、大学生のとき、そんな科目は取らなかったよ」というあなた。
安心してください。他にも司書資格を取る方法はあります。
まずは、通信制大学を利用して必要科目を履修するという方法。
司書資格が取れる通信制大学で有名なのは、この2つです。
基本的に授業はオンラインで行われ、講義が終わったらレポートとテストに合格すれば単位がもらえます。
学校によっては「スクーリング」といって、何回か実際のキャンパスに通って講義を受ける必要もあるため、事前にHPを見たり、資料を取り寄せたりして確認しておきましょう。
頑張れば半年で資格を取ることができます。
司書講習を受ける
司書資格を取るには、「司書講習」を受けるという手もあります。
この講習では、2〜3ヶ月くらい大学に通って授業を受けます。
通信教育が苦手で、短期間で集中して資格を取ってしまいたいというのであれば、これを受けてしまうのが手っ取り早いかもしれません。
ただし、一つだけ注意事項が。
仕事をしながら司書講習に通うのは、難しいです。
日中に授業があることがほとんどなので、授業がある日は仕事を休まなければなりません。
司書講習が受けられる主な大学はこちら。
- 明治大学(東京)
- 桃山学院大学(大阪)
- 聖徳大学(千葉)
司書として働くには
「資格の取り方はわかった。でも、司書として本当に働くクチがあるの?」
ここからは、そんな疑問にお答えしていきます。
先に答えを言いましょう。
「もちろん、司書として働く場所はたくさんあります。」
当然、仕事場所は全国の図書館です。
ただし、一口に「図書館」と言っても実は色々な種類があるんです。
- 公共図書館
- 大学図書館
- 学校図書館
- 専門図書館
- 国立国会図書館
それぞれで就職方法が違うので、順番に見ていきましょう。
公共図書館
公共図書館とは、市町村や都道府県が運営している図書館のことです。
「図書館」と聞いたときに多くの方がイメージするのが、この公共図書館でしょう。
公共図書館で働くためには、3つの方法があります。
- 公務員試験を受ける
- 会計年度任用職員の募集に応募する
- 図書館の運営を請け負っている民間企業に就職する
公務員試験を受ける
まずは、その図書館を運営している自治体の職員になるという方法があります。
そのためには、いわゆる“公務員試験”を受けなければなりません。
試験では、「一般教養」と司書資格を取るときに勉強した図書館情報学の「専門知識」の2つを問われることが多いです。
募集人数は1名や若干名だったりするので、倍率は高くなりがちです。
10倍以上というのはザラで、数百倍になることもよくあります。
正直言ってかなりの狭き門なので、受かるためには相当な努力が必要です。
会計年度任用職員の募集に応募する
公務員試験に受かる自信がない!というのであれば、会計年度任用職員の募集に応募するという手もあります。
「会計年度任用職員」という言葉には耳馴染みが無いかもしれませんが、簡単に言うと契約社員の公務員バージョンです。
多くの場合は1年間限定の契約をして、次の年も継続するかは雇い主との話し合いになります。
1年ごとに更新できるかできないかでヤキモキするので、安定的な働き方とは言えませんね。
図書館の運営を請け負っている民間企業に就職する
近年、公共図書館は運営を民間企業が請け負っていることが増えてきています。
なので、図書館で働くために、そういう会社に就職してしまうという手もあります。
図書館運営業務をやっていることで有名な企業は、このあたりです。
- 図書館流通センター(TRC)
- ヴィアックス
- 丸善
- 紀伊國屋
さて、気になるのがこういう企業は正社員の募集をしているのか、というところですね。
正直に言いましょう。
残念ながら図書館で働くスタッフは、契約社員の募集が多いです。
しかし、だからと言って諦めるのはまだ早いです。
僕が知っている中には契約社員として入社したのち、活躍を認められて正社員になった方が結構います。
なので、一生懸命働けば正社員になれる可能性も大いにあります。
大学図書館
大学図書館はイメージできますよね。大学のキャンパス内にある図書館です。
レポートを書いたり、テスト勉強をしたりするために使っていたと思うので、あんまり良い思い出は無いかもしれませんが…
ここで働くための方法は、国立大学と私立大学で異なります。
まず、国立大学の図書館で働くためには、「国立大学法人等職員採用試験」を受ける必要があります。
試験内容は、公務員試験とほぼ同じで、一般教養と図書館情報学の専門知識が問われます。
この試験も募集人数がかなり少ないので、倍率は高くなりがちです。
一方、私立大学の図書館で働くには、まずその大学の職員にならなければなりません。
入社の流れは大学にもよりますが、履歴書を出してから面接を受けるという、普通の就活と同じようなパターンが多いです。
私立大学の図書館を目指す上で注意して欲しいのは、職員になれたからといって、ずっと図書館配属になるとは限らないことです。
「司書」として採用されることはまれで、普通の職員として入社することがほとんどなので、図書館以外の部署に配属されてしまうこともあります。
ずっと図書館だけで働きたいというのであれば、私立大学はやめておいた方が良いかもしれませんね。
学校図書館
学校図書館とは、小学校・中学校・高校の中にある図書室のこと。
この学校図書館で働くためには、会計年度任用職員の募集に応募します。
会計年度任用職員は先ほど説明した通り、契約社員の公務員バージョンのことですね。
「あれ?普通に市の職員とかになって、学校図書館で働けないの?」
なんて思うかもしれませんが、残念ながら、学校図書館のスタッフは会計年度任用職員であることが多いです。
もちろん、1年ごとの契約更新になるので、安定的な働き方とは言えません。
学校図書館で働くためには、もう一つ方法があります。
それは、学校図書館の運営を請け負っている民間企業に就職すること。
学校図書館も公共図書館と同じように、民間企業が運営をしていることが増えてきました。
なので、運営を請け負っている会社に就職し、学校図書館に配属されるという手もあります。
専門図書館
博物館に行ったとき、図書室があるのを見たことがありませんか?
この図書室は、「専門図書館」と呼ばれています。
特定のテーマにそった本を中心に集めていて、その道の専門家に多く利用されています。
専門図書館で働くには、独自に行っている職員募集に応募します。
しかし、この求人が出ることは、かなり少ないです。
なぜかというと、専門図書館は規模が小さいことが多く、職員の数も少ないため、基本的には欠員が出たときにしか募集をしないからです。
この専門図書館も民間企業が請け負っていることがあります。
なので、その会社に就職すれば専門図書館に配属されることがあります。
国立国会図書館
国立国会図書館は、日本で一番大きな図書館です。
基本的には、国内で出版された全ての本を所蔵しています。
この国立国会図書館働くためには、採用試験を受ける必要があります。
この試験では、公務員試験と同じように一般教養と専門知識が問われます。
専門知識の試験では、図書館情報学の他に、法律・経済・文学・歴史・物理・化学などから、自分が好きなものを選択できます。
はっきり言って難易度は高く、募集人数も少ないため倍率も高くなりがちです。
あまり自信がないということでしたら、非常勤職員も募集しているので、こっちに応募するのもアリです。
未経験からの転職は可能か
ここまで読んだあなたは、こんなことを思っているかもしれません。
「自分みたいに全くの未経験から、本当に司書として働くことができるのか?」
その答えは、もちろんYESです。
現に僕も全くの未経験から司書に転身しています。
確かに司書の募集の中には「図書館での3年以上の勤務経験」だとかが書かれていることもあります。
ただ、未経験でもOKとしている募集も多いので、そこはあまり心配しなくても大丈夫です。
司書に向いている人
司書について、少しは興味を持ってもらえましたか?
ここでは僕の考える、司書に向いている人の3つの特徴をお伝えしたいと思います。
本が好き
まずは当たり前ですけど、本が好きなこと。
あなたは普段、どんなジャンルの本を読んでいますか?
小説が好きとか、ビジネス書が好きだとか色々あると思いますが、司書として働くのであれば、広いジャンルの本を知っている必要があります。
読書が好きで、今まで読んだことがなかった分野の本も読んでみたいという好奇心のある方が、司書に向いているんじゃないかと思います。
人が好き
図書館には、いろんな人が来ます。
高齢の方、小さな子ども、ビジネスマン、主婦、外国の方、障がいをお持ちの方。
図書館にいらっしゃった全ての方に、気持ちよく利用してもらうことが司書の仕事です。
なので、人と接するのが好きで相手のことを考えて行動できる人が向いていると思います。
キレイ好き
司書は、本を管理するのが仕事です。
そして、利用者が読みたい本をなるべく早くお渡しするのが、司書に求められる大切な役割です。
そのため、図書館の本は何がどこにあるのか分かりやすくしておくことが重要です。
こうなると必然的に整理整頓の仕事が多くなるので、そういう作業が好きな人が司書に向いていると言えます。
あとがき
司書というのは、とっても素敵な職業です。
毎日、本に囲まれながら仕事ができるというだけでもワクワクしてきませんか?
もし、この記事を読んで司書になりたいと思ってもらえたのならば、まずは資格を取るところから始めてみてください。
仕事をしながらでも、通信制大学を使えば資格が取れます。
ただ、そうは言っても転職って不安ですよね。
僕も公務員をしていたので、安定した仕事を捨てるというのは結構勇気が要りました。
でも、これ以上面白くない仕事をしたくないという気持ちが勝って、苦悩の末、司書になるという道を選びました。
今振り返ってみると、当時の僕がした選択は間違いではなかった、と自信を持って言えます。
もし、あなたも今のままの人生は嫌だと思うのであれば、最初の一歩を踏み出してみませんか?
一歩目が踏み出せれば、あとはその勢いで歩いていくだけ。
なんでもいいから、まずは一つだけ行動してみるのがオススメです。