落語「狸賽」のあらすじと豆知識を紹介!

「恩を受けて、それを返さないようじゃ、人間と同じですからね」
「狸賽(たぬさい)」のあらすじ

話は、狸が八五郎の家を訪ねてくるところから始まります。
ごめんください。
はいはい。
うわっ、狸じゃないか!
先ほどは、ありがとうございました。
ああ、お前はさっき、子どもたちにいじめられてた狸か。
まぁ、可哀想で見てらんなかったから、ガキを追っ払ってやっただけだよ。
うまく逃げられてよかったな。
はい。
あれから家に帰って、家族に顛末を話したんです。
そしたら、親父はあなたのことを「人間にしては偉い人だ」と褒めてましたよ。
「狸の仲間に入れても恥ずかしくない」とまで言ってました。
そりゃどうも。
で、何しにうちまで来たんだ?
恩返しに来たんです。
恩を受けて、それを返さないようじゃ、人間と同じですからね。
耳が痛いや。
私は狸ですので、色んなものに化けられます。
この力で、何か恩返しをできればと思ってるんですが……。
そしたら、お前、サイコロに化けられるか?
サイコロ……ですか?
実は、これから仲間と賭けをするんだ。
その賭けっていうのが、まず「親役」を決めたら、そいつがお椀の中でサイコロを転がしながら、お椀を逆さにして床に伏せる。

それから、みんなでお椀の中のサイコロの目を予想するんだ。
当てた奴は、賭けた金が4倍になって返ってきて、外した奴が賭けた金は、全部親役が持ってく。
俺はここのところ負けっぱなしなんだが、お前がサイコロに化けて、俺が言ったとおりの目を出してくれれば、大儲けできるってわけだ。
そういうことなら、お安いご用です。
でな、イカサマしてるとバレたら、あとが怖いんで、お前には、完璧なサイコロになってもらいたい。
いいか。サイコロってのは、数字の配置が決まってる。

ピンの反対は6ってな具合に、表裏を合わせると7になるんだ。
そのピンってのは、なんです?
ああ、数字の1のことをピンって言ったりするんだよ。
あとは、5のことを梅鉢と言ったりもするな。
梅鉢?
梅鉢は、家紋のひとつだ。

天神様って崇められてる、菅原道真さんの家も梅鉢だったな。
丸が5つ入ってる家紋だから、サイコロの5のことを梅鉢って呼んだりするんだよ。
へぇー。
まぁ、とりあえず、サイコロに化けてみますね。
そうして、狸が化けたサイコロを懐に忍ばせ、八五郎は賭けをしてる仲間の家を訪れます。

おう、やってるか?
八五郎、遅かったな。
実は、もうお開きにしようと思ってたとこなんだ。
ええ!どうして?
いや、今日は親役になった奴が負けっぱなしで、賭けにならない。
もう、誰も親をやろうとしないんだよ。
そういうことなら、俺が親をやってやろう。
ただ、親が負けっぱなしのサイコロを使うのは縁起が悪い。
俺が持ってきたサイコロを使ってもいいかい?
それは構わねえが、イカサマがあると、あとで揉める。
ちょっとそのサイコロを見てもいいか?
もちろん。ほらよ。
んん?やけに生暖かいサイコロだな。
それは、長いこと懐に入れてたからだよ。
しかも、手の中でムズムズと動いたような……。
そんなわけあるか!
さあ、もういいだろう?早く始めよう!
それから八五郎はサイコロを奪い返し、賭けを始めます。

仲間たちは、それぞれ数字を予想しましたが、1にだけは、賭ける人がいませんでした。
なんだ、誰も1には賭けないのか。
ってことは、1が出たら、親役の俺が総取りだな?
よーし、1が出ろ。
いいか、間違えるなよ、1だぞ?
1で出てこいよ?
念入りにサイコロに向かって声をかけた八五郎。
お椀を開くと、見事に1が出ていました。

よし!俺の一人勝ちだ!
調子がいいうちに、二回戦といこう!
さあ、張った張った!
と、次の勝負では、2に賭ける人がいませんでした。
そこで八五郎は、何度も「2が出ろ」と言ってからお椀を開くと、案の定、サイコロの目は2。

またも八五郎の総取りになりました。
そうして迎えた、三回目の勝負。
今度は5に賭ける人がいません。
これを見た八五郎は、またサイコロに声をかけようとしますが、ここで仲間から物言いがつきます。
おい、八五郎。
さっきみたいに、開ける前に、数字を言うのはやめてくれ。
なんだか、お前が言った目が出るような気がしてならねえ。
ええ?
そしたら、どうやって伝えればいいんだよ?
伝える?
あ、いや、こっちの話だよ。
そうだなぁ……。
そしたら、数字さえ言わなければいいだろ?
梅鉢だ!これくらいはいいじゃねえか。
梅鉢が来い!天神様!菅原道真だよ!
そう声をかけてからお椀を開くと、中では狸が菅原道真の格好に化けて、座っていました。

ー完ー
「狸賽」の豆知識
- この噺は、人間国宝 五代目 柳家小さんが得意としていた。
- タヌキが恩返しする落語には、ほかに『狸の札』『狸の鯉』『狸の釜』がある。
- この噺に出てくる、サイコロを1つ使った賭け事は「チョボイチ」と呼ばれる。
- 立川談志はこの噺を解説するなかで、「人間はどっかで、なにかに騙されたいのかもしれない」と語った。「不完全である人間は、きっと騙されることによって安心したり、または戒めの材料としたのであろう」
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