落語「錦の袈裟」のあらすじと豆知識を紹介!

「和尚さんは、錦のふんどしを持ってるの?」「ふんどしはどうか知らないけど、錦の袈裟ならあるはずさ」
「錦の袈裟」のあらすじ

話は、若い男が集まってお喋りをしているところから始まります。
おう、みんな集まったか?
兄貴。話ってのは、一体なんだい?
それが、この間の晩のことなんだがな……。
隣町の連中が、吉原に遊びに行ったみたいなんだよ。
ほう。
そこで奴ら、揃いの赤い長襦袢になって、踊りを踊ったらしいんだ。
着物の下に着る下着のこと。
それから吉原では、隣町の連中が「面白い奴らだ」って評判になっててよ。
俺は悔しいんだ。
たしかに、隣町の奴らにデカい顔をされるのは癪だな。
だろ?
だから、俺たちもいっちょ、吉原で目立つことをしねえか?
いいねぇ!
兄貴に、何か考えがあるのか?
ああ。
隣町が「赤い長襦袢」なら、俺たちは「錦のふんどし」で踊るのは、どうかと思ってな。

そりゃいいや!
みんなで何とか錦のふんどしを都合して、揃いで着ていこうじゃねえか!
よし。決まりだな。
さっそく、今晩繰り込もう!
おい、与太郎も行くだろ?
うーん……吉原かぁ……。
行ってもいいか、かかあに聞いてみないと……。
そんなこと、奥さんに相談するもんじゃねえよ!
でも、黙って行って、後でバレたらどうなるか……。
わかった、わかった!
じゃあ、すぐに帰って、奥さんに聞いてみろ。
うん。
錦のふんどしも忘れるなよ!
さっそく与太郎は自分の家に帰り、奥さんにお伺いを立てます。

ただいま。
はい、おかえり。
今夜、吉原に行ってもいい?
ああ、いいよ。
え、いいの?
どうせ、今日集まった連中みんなで行くことになったんだろ?
人付き合いなら仕方ないから、一晩くらい行っておいでよ。
ありがとう。
それでさ、みんなで錦のふんどしを着ていくことになったんだけど、うちにある?
あるわけないだろ!
そもそも、錦なんて高級な布を、ふんどしする人はいないよ!
そうなの?
でも、みんなで揃いで着て行って、吉原で目立ちたいんだよ。
まったく……バカな男たちだねぇ……。
それなら、お寺の和尚さんから借りてきたら?
え?
和尚さんは、錦のふんどしを持ってるの?
ふんどしはどうか知らないけど、「錦の袈裟」ならあるはずさ。
僧侶が着る衣装のこと。
ちなみに、禅宗の袈裟は、下記のように肩紐のところに輪っかがある。

それを、ふんどし代わりに腰に巻いていけばいいよ。
なるほどね!
じゃあ、行ってくる!
ちょっと、お待ち。
ただ「錦の袈裟を貸してください」って頼んでも、貸してくれないかもしれないからね。
「親戚の娘にキツネが憑いたのですが、ありがたい和尚の錦の袈裟をかけてやると祓えるそうなので、貸していただけないでしょうか?」って頼んでみなよ。
わかった。そうする。
じゃあ、行ってくるよ。

こうして、今度はお寺にやってきた与太郎。
和尚さん、こんちは。
やあ、与太郎さんかい。
何か用かな?
実は、親戚の娘にキツネが憑きまして……。
それは大変だな。
ええ、そうなんです。
それで、「ありがたい和尚の錦の袈裟をかけてやると祓える」と聞いたので、貸してもらえないかと思って。
そうか、そうか。
「ありがたい和尚」とは恐縮だが、錦の袈裟ならあるよ。
そう言って、和尚は奥から袈裟を持ってきてくれます。
ほら、これだ。
うーん……なんだか年季が入ってますね。
そっちにある袈裟は、新しそうじゃないですか。
ああ、あれは貸せないんだ。
明日の法事で着るからな。
なら、明日の朝までに返しますよ!
だから、そっちの新しい方を貸してください。
仕方ないなぁ……。
こうして、無事に錦の袈裟を借りることに成功した与太郎。
それを奥さんに上手いこと腰に巻いてもらい、仲間たちと吉原に向かいました。

さて、吉原の妓楼に着いた彼らは、芸者を呼んでどんちゃん騒ぎを始めます。
そして、盛り上がってきたところで、計画どおり、みんな錦のふんどし一丁になって踊りました。

座敷にいた花魁たちは、その様子を見ながら内緒話をしています。
あら、あれを見てごらんなさい。
ええ。おもしろい方々ね。
みなさんが履いてるのは、「錦のふんどし」よ。
錦なんて布をふんどしにするくらいだから、相当お金を持ってらっしゃるのよ。
きっと、どこかのお殿様とその家来たちに違いないわ。
どの方が、お殿様なのかしら?
ここで花魁は、与太郎のことを指差します。

あの方よ。
あの方のふんどしだけ、輪っかが付いてるもの。

たしかに、輪っかが付いてるわね。
でも、どうして、ふんどしに輪っかなんか付けてるの?
小用を足すとき、あの輪に竿を通すのよ。
高貴な人は、自分で自分のあそこを持たないの。
へぇー。
あの輪っかのことは、「ちん輪」と呼ぶそうよ。
こうして、花魁たちから殿様だと勘違いされた与太郎。
その晩は、相方になった花魁から、丁寧なもてなしを受けました。

烏カァで夜が明けます。
殿様の家来だと思われた与太郎の仲間たちは、あまり花魁から相手にされず、朝っぱらから廊下で立ち話をしていました。
おはよう。
あ、兄貴。
昨晩はどうだった?
からっきしだな。
俺もだよ。
つまらねえから、早く帰ろうか。
ああ。そうしよう。
ところで、与太郎は?
さあ?
ちょっと探してみよう。
花魁に与太郎の居場所を聞き、男たちは部屋までやってきます。

なんだ、与太郎のやつ。
こんな立派な部屋に泊まったのか。
おい、与太郎。
そろそろ帰るぞ。
うーん……。
早く布団から出てこいよ。
それがね、花魁が太ももで俺の腰あたりを挟んで、離さないんだよ。
ええっ!?

お前だけモテてずるいぞ!
そう言われても……。
ねえ、花魁。
なぁに?
俺、そろそろ帰りたいんだけど……。
だめ。
今朝(けさ)は返しませんよ?
え⁉︎袈裟(けさ)は返さない⁉︎
そりゃあ困るよ。
「和尚に怒られる」
ー完ー
おすすめの音源
この音源はAmazonの「Audible」というサブスクに登録すれば、ほかの落語も含めて聴き放題になります。
無料体験の期間もありますので、ご興味のある方は下記からサービスの内容をチェックしてみてください。
遷移したページの上部にある検索窓に「落語」と入力すると、Audibleで聴けるネタを調べられます。
「錦の袈裟」の豆知識
- 別題は「金襴の袈裟」「錦の下帯」「ちん輪」。
- 上方落語の「袈裟茶屋」を東京に持ってきたものだとされる。
- 六代目 三遊亭圓生と五代目 古今亭志ん生が得意とした。
- 太平洋戦争中には、「禁演落語」に指定された。
落語に興味をお持ちのすべての方にオススメしたいのが、『昭和元禄落語心中』というアニメです。
この作品は、雲田はるこさん原作のマンガをアニメ化したものなのですが、落語の魅力が「これでもか!」というほど、たっぷり詰まっています。
まず注目すべきは、声優陣の豪華さ。
- 関智一:スネ夫(ドラえもん)etc.
- 石田彰:渚カヲル(エヴァンゲリオン)etc.
- 山寺宏一:ジーニー(アラジン)etc.
- 林原めぐみ:灰原哀(名探偵コナン)etc.
- 山口勝平:ウソップ(ONE PIECE)etc.
そして、高座のシーンの演出は、まるで寄席の中にいるような気分になってきます。
落語に少しでも興味があれば、ハマること間違いなしですので、ぜひ観てみてください!
なお、『落語心中』は各種サブスクで配信されていますが、一番オススメなのは「dアニメストア」を利用することです。
dアニメストアは、月額550円(税込)とほかのアニメ系サブスクよりも安く、31日間は無料で視聴できます。
dアニメストアに入れば、『落語心中』以外のアニメも見放題ですので、まずは無料で体験してみてください!
—
※初回は31日間無料ですが、31日経過後は自動継続となり、その月から月額料金の全額がかかります。
※月額は契約日・解約日に関わらず、毎月1日~末日までの1か月分の料金が発生し、別途通信料・その他レンタル料金など、使うサービスによっては別料金が発生します。
※見放題対象外のコンテンツもあります。





















