落語「二番煎じ」のあらすじと豆知識を紹介!

「……いい煎じ薬だ。もう一杯くれ」
「二番煎じ」のあらすじ

江戸には、火の用心の見廻りをするときに使う「番小屋」というものが、各町内に置かれていました。
この夜も、担当の者たちが番小屋に集まっています。
皆さん、お集まりですかな。
出かける前に、ちょっと月番のあたしから提案があります。
町内の住人が担当する、当番制の仕事のこと。火の用心の見廻りのまとめ役のほか、祝儀・不祝儀の集金などを行った。
提案って、なんです?
今晩から、二組に分かれて、代わりばんこに見回りをしませんか?
そうすれば、一方の組が行っている間、もう片方の組は休めますので、皆さんあまり疲れずに済むと思うんです。
そりゃあ、名案だ!
ぜひ、そうしましょう!
それでは、ご異存ないようですので、まずは一の組が見回りに行きましょう。
一の組は、あたしと……先生、辰つぁん、惣助さん、すみませんが付いてきてください。
こうして、月番たちは町内の見廻りに出発しました。

さっそく掛け声を出しましょうか。
先生は、唄も教えてらっしゃいましたよね?
ええ。
ここはひとつ、その美声で「火の用心」の掛け声をしてくださいませんか?
では、僭越ながら……。
火ぃ〜のぉ〜よぉおじぃ〜ん♪火ぃの廻りぃ〜♪
おぉー!やはり、いいお声ですなぁ。
よし、今度は辰つぁんが頼むよ。
おう、任せてくれ。
こちとら、若い頃は吉原で火の廻りをしてたことがあるんだ。
へぇー、知らなかったよ。
首のところに、手拭いをキュッと結んで歩いてると、花魁たちに声をかけられてね。
「ご苦労様。こっちに来て、一服していかない?」なんて、キセルを差し出してくるんだよ。
その様子といったら、キセルの雨が〜降るようだ〜!
「キセルの雨が降るようだ」は、『助六』という歌舞伎の演目で、主人公の助六が発する名台詞。
思い出話はいいから、さっさと掛け声を出しとくれよ。
わかったよ。
火のよぉーじぃーん!さっしゃりやしょーう!
おっ、威勢が良くていいねぇ!
こんなことをしながら、月番たちは町内を一周して、番小屋に戻ってきます。

さぁ、戻りましたよ。
次は、二の組が見廻りをお願いします。
番小屋の中で、囲炉裏の火を囲って暖まる月番たち。
それにしても、今晩は冷えるねぇ。
そうだなぁ。
月番さん。実は私、こんなものを持ってきたんです。
-2024-04-19T085504.707-1024x1024.png)
もしや、お酒ですか?
ええ。皆さんで飲んで、温まりませんか?
先生、いけませんよ!
番小屋でお酒なんか飲んでて、もし見廻りの役人さんにでも見つかったら、お咎めを受けます!
これは失礼。
なにしろ、はじめての当番だったもので、知りませんでした。
……。
惣助さん。ちょっと、そこの土瓶を取ってください。
……?は、はい。
-35-1024x1024.png)
それから、先生が持ってきた瓢箪の中身を、その土瓶に入れて火にかけて。
月番さん。一体、なにを……?
見ればわかるでしょう?
お酒にお燗をつけてるんです。
お燗をつけて、どうするんです?
こんな寒い日に、冷酒を飲むのは毒です。
だから、熱燗で飲むんですよ。
でも、お酒はいけないと……。
ええ、そうです。
瓢箪から出てくる「酒」を飲むのはいけませんが……。
土瓶から出てくる「煎じ薬」なら、構わないでしょう。
ははぁ、そういうことですか!
実は、あたしも酒を持ってきてるんです。
なぁんだ!
月番さん。
ん?どうしました、惣助さん?
あたしは、猪の肉を持ってきました。
なんと!
ネギや味噌もありますんで、鍋にして一杯やりましょう。

こうして、猪の鍋をつつきながら、酒を飲み始めた月番たち。
私は、猪の肉を初めて食べましたが、美味いものですなぁ。
ええ。体も温まるでしょう?
俺はちょっと苦手だから、ネギのほうを食べようかな。
辰つぁん。
そう言いながら、ネギとネギの間に肉を挟んでるじゃないか!
ははっ、バレたかい?
酒がまわって、月番たちは、だんだん陽気になってきます。
そこへ突然、見廻りの役人がやってきました。
番!番の者はおるか!
まずい、お役人だ!
その鍋と土瓶を早く隠して!
今、開けますから、少しお待ちをー!
月番が戸を開けると、役人は怖い顔をして立っています。
見廻りには、行っていないのか?
今晩より、二組に分かれて、交互に見廻っておりまして……。
今は別の組が行っております。
左様か。それなら良い。
ただ……今、拙者が入ったとき、土瓶のようなものを隠さなかったか?
えっ?あ、いや、それは……惣助さんが……。
なんで、あたしの名前を出すんですか!
ここで、隠した土瓶を取り出した月番。
-35-1024x1024.png)
実は、風邪をひいてはいけませんので、この土瓶で薬を煎じておりました。
なるほど、風邪薬か。
拙者も、昨日から風邪をひいておってな。
一杯もらえるか?
いや……この薬は、あたしたち町人には効くんですが……。
お役人の方々のような、お侍には効かないんです。
そのような薬があるか!
さぁ、早く出せ。
もう後には引けなくなった月番は、観念して土瓶の中身を湯呑みに注ぎ、役人に差し出します。

……どうぞ。
うむ。それでは頂こう。
……。
その方たちは、これを飲んでおったのか?
は、はい……。
……いい煎じ薬だ。

もう一杯くれ。
ちょっと、おどかさないでくださいよ!
これで、あなた様も同罪ですよ?
はっはっは!
本当にいい酒……いや、煎じ薬だな!
ところで、先ほどは鍋のようなものも隠さなかったか?
ああ、あれは惣助さんが……。
だから、あたしの名前を出さないでくださいよ!
実は、煎じ薬の口直しを鍋で煮ておりました。
左様か。
拙者にも、いただけるかな?
もちろんです。
どうぞ、お召し上がりください。

……猪の肉か。拙者の好物だ。
煎じ薬も進むのう。
すまぬが、薬をもう一杯くれ。
……申し訳ございません。
先ほど注いだので、空になってしまいました。
なに、煎じ薬はもうないのか……。
しからば、拙者、今からもうひと廻りして参る。
その間に……。
「二番を煎じておけ」
ー完ー
おすすめの音源
この音源はAmazonの「Audible」というサブスクに登録すれば、ほかの落語も含めて聴き放題になります。
無料体験の期間もありますので、ご興味のある方は下記からサービスの内容をチェックしてみてください。
遷移したページの上部にある検索窓に「落語」と入力すると、Audibleで聴けるネタを調べられます。
「二番煎じ」の豆知識
落語に興味をお持ちのすべての方にオススメしたいのが、『昭和元禄落語心中』というアニメです。
この作品は、雲田はるこさん原作のマンガをアニメ化したものなのですが、落語の魅力が「これでもか!」というほど、たっぷり詰まっています。
まず注目すべきは、声優陣の豪華さ。
- 関智一:スネ夫(ドラえもん)etc.
- 石田彰:渚カヲル(エヴァンゲリオン)etc.
- 山寺宏一:ジーニー(アラジン)etc.
- 林原めぐみ:灰原哀(名探偵コナン)etc.
- 山口勝平:ウソップ(ONE PIECE)etc.
そして、高座のシーンの演出は、まるで寄席の中にいるような気分になってきます。
落語に少しでも興味があれば、ハマること間違いなしですので、ぜひ観てみてください!
なお、『落語心中』は各種サブスクで配信されていますが、一番オススメなのは「dアニメストア」を利用することです。
dアニメストアは、月額550円(税込)とほかのアニメ系サブスクよりも安く、31日間は無料で視聴できます。
dアニメストアに入れば、『落語心中』以外のアニメも見放題ですので、まずは無料で体験してみてください!
—
※初回は31日間無料ですが、31日経過後は自動継続となり、その月から月額料金の全額がかかります。
※月額は契約日・解約日に関わらず、毎月1日~末日までの1か月分の料金が発生し、別途通信料・その他レンタル料金など、使うサービスによっては別料金が発生します。
※見放題対象外のコンテンツもあります。




















