落語「応挙の幽霊」のあらすじ・オチ・豆知識を紹介!

「いえ、貴方様に恨みがあって出たのではありません……」
「応挙の幽霊」のあらすじ

話は、骨董屋が馴染みの旦那の家を訪ねるところから始まります。
ごめんください。
おや、骨董屋さんか。
何か、良い品でも入ったのかい?
ええ。
実は、旦那がお好きな「幽霊の掛け軸」が手に入ったんです。

ほう。
誰の筆なんだ?
応挙です。
江戸時代の絵師「円山応挙」のこと。「足のない幽霊画」を描いた元祖とされる。
応挙⁉︎本当か⁉︎
ええ。間違いありません。
それなら、是非とも買わせてくれ。
いくらなら、手放す?
10両いただければ……。
今の金銭感覚では、100万円ほどの価値になる。
まぁ、本物の応挙なら、それでも安いくらいだな。
ただ、今は持ち合わせがないから、悪いが、明日の朝に改めて来てくれないか?
それまでに、金は用意しておく。
もちろん構いません。
それでは、また明日、伺います。

こうして、旦那のところから、自宅に帰ってきた骨董屋。
掛け軸が10両という高値で売れたので、ウナギを肴に酒を飲むことにしました。
儲かって飲む酒は、美味いものだなぁ。
これも、あの掛け軸のおかげだし、幽霊にも一杯あげようか。
骨董屋は、さっそく箱から掛け軸を取り出して、床の間に飾ります。
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それから湯呑みに酒を注いで、ウナギも添えてお供えしました。
◆
その後も、上機嫌に飲み続けた骨董屋。
そこへ突然、女の声が聞こえてきます。
……こんばんは。
誰だ⁉︎
幽霊です……。
幽霊?
俺は幽霊に出られるような、悪いことなんかしてねえぞ?
いえ、貴方様に恨みがあって出たのではありません……。
じゃあ、何しに出てきたんだ?
お礼が言いたくて……。
お礼?
私は、あそこの掛け軸から出てきたのですが……。
掛け軸?……あっ!
掛け軸の絵が消えてる!!
ええ。あそこに描かれてたのが、私なんです。
それで、私の掛け軸は、これまで方々で買われたのですが……。
ありがたいことに、床の間に大事に掛けていただくことが多かったんです。
まぁ、応挙の掛け軸っていえば、高級品だからな。
みんな、そうやって大切に扱うだろう。
ただ、飾っていただいてから少し経つと、奥さまやお子さんに気味悪がられて、箱に仕舞われてしまって……。
そうか……。
そうして私は、長いこと暗闇の中にいました。
そこへ貴方様は、私を明るいところに出してくれて、お酒とウナギまで手向けていただき……。
私は本当に嬉しくて……。
なるほど。
それで、お礼を言いに出てきたってわけかい。
ええ。
酒とウナギは、美味かったかい?
大変、美味しゅうございました。
もしやお前、いける口だな?
よし。今日は二人で飲み明かそうじゃねえか。
こうして、骨董屋と幽霊は、お互いにお酌をしながら飲み始めました。
だんだんと酔いが回り、顔が赤くなってきた幽霊は、部屋に置かれていた三味線を手に取ります。
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お前、三味線が弾けるのか?
ええ。少しですが……。
何か弾いてくれよ。
それでは、都々逸をひとつ。
七・七・七・五の定型詩。もともとは、三味線の伴奏に合わせて唄われた。
お前の嬉しい心に惹かれ〜♪
迷うて出たのが恥ずかしい〜♪
三途の川でも竿挿しゃ届く〜♪
思い届かぬことはない〜♪
ちょっとばかし陰気だが、いい声じゃねえか!
ありがとうございます……。
その後も、酒を飲み続けた二人。
しかし、骨董屋がふと気がつくと、幽霊は掛け軸の中に戻ってしまっていました。
おいおい、いつの間にか、掛け軸の中で寝てるじゃねえか。
しかも、向こう側を向いてるから、せっかくの絵が台無しだよ。
明日、旦那に渡す頃には、酔いが覚めてるかなぁ?

さて、その翌朝。
案の定、幽霊は二日酔いのようで、まだむこうを向いて寝ています。
仕方がないので、骨董屋は手ぶらで旦那の家を訪ねました。
おはようございます。
お、来てくれたか!
それで、例の掛け軸は?
実は、今日は持ってきてないんです。
ええ?どうして?
「もう少しだけ、寝かせておきたくて」
ー完ー
「応挙の幽霊」のオチ(サゲ)
オチのパターンとしては、幽霊が掛け軸に戻って寝てしまったのを発見した骨董屋が「酔ったのはいいけど、明日までに酔いが覚めるかしら」と呟くところでサゲることもあります。
また、「いつまで寝るつもりだ?」と聞かれた幽霊が、「明日の丑三つ時まで」と答えて終わるのも、1つのパターンです。
「応挙の幽霊」の豆知識
- 明治・大正時代の新聞記者で戯作者の「鶯亭金升(おうてい きんしょう)」の作といわれる。
- 別題は「幽霊の酒宴」。
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- 関智一:スネ夫(ドラえもん)etc.
- 石田彰:渚カヲル(エヴァンゲリオン)etc.
- 山寺宏一:ジーニー(アラジン)etc.
- 林原めぐみ:灰原哀(名探偵コナン)etc.
- 山口勝平:ウソップ(ONE PIECE)etc.
そして、高座のシーンの演出は、まるで寄席の中にいるような気分になってきます。
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