落語のネタ

落語「紺屋高尾」のあらすじと豆知識を紹介!

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「主の正直に惚れんした」

「紺屋高尾」のあらすじ

背景(大通り・昼)

物語の舞台は、紺屋。今でいう、染め物屋です。

話は、そこで働く「久蔵」という名の職人が、近ごろ店に顔を出さないので、親方が心配して、様子を見に行くところから始まります。

親方

おい、久蔵。

親方

どうした、具合が悪いのか?

久蔵

あ、親方。

久蔵

実は、患っちまいまして。

親方

どこが悪いんだ?

久蔵

それが……恋患いなんです。

ここで久蔵は、親方に詳しい事情を話します。

久蔵

この前、店の先輩たちに、吉原に連れて行ってもらったんです。

久蔵

そのときに見かけた「高尾」という花魁が、あまりに美しくて……。

久蔵

あっしも、ああいう花魁と、一夜を過ごしたいと思いました。

久蔵

でも、聞けば、大名ぐらいにならないと、彼女には相手にしてもらえないそうで。

久蔵

だから、その日は潔く諦めて帰ってきたんですが、それから寝ても覚めても、高尾の顔が頭に浮かぶんです。

親方

それは、えらい女に惚れたな。

親方

だがな、久蔵。向こうだって商売だ。

親方

筋さえ通せば、初めは15両もあれば、会ってもらえるだろう。

久蔵

15両か……。

久蔵

親方、あっしはどれほど働けば、15両を貯められますか?

親方

そうだなぁ……。

親方

お前は若いが腕はいい。

親方

一生懸命働けば、三年もあればなんとかなるだろう。

この言葉を聞いた久蔵は、その日から、一心不乱に働きました。

そうして、いつの間にか三年の月日が流れます。

久蔵

親方、おはようございます。

親方

おう、久蔵。おはよう。

久蔵

あの、あっしが親方に預けておいた給金は、どれほどになったでしょうか?

親方

もう18両になったよ。

親方

お前、よく貯めたなぁ。

親方

それで提案があるんだが……。

親方

久蔵、もう少しだけ頑張って、あと2両貯めなさい。

親方

それで合わせて20両になったら、それを元手にして、お前を独立させてやる。

久蔵

親方、そのお気持ちは嬉しいんですが……。

久蔵

実は今日、貯めてた銭のうち、15両を使っちまおうと思ってるんです。

親方

何に使うんだ?

久蔵

三年前に親方に話した、高尾に会いに行きます。

親方

お前、まだ、高尾のことが忘れられてなかったのか……。

久蔵

はい。ダメでしょうか?

親方

いや、気に入った!

親方

お前が吉原に行く支度を、俺も手伝ってやろう。

というわけで、さっそく久蔵の身支度が整えられます。

小洒落た着物に着替えさせられた久蔵は、紺屋の職人と正直に言っては、花魁に相手にされないので、どこぞの店の若旦那と偽ることになりました。

そうして、吉原までやってきた久蔵。

本来であれば、高尾のような格式の高い花魁には、当日ふらっと行って会えるものではありません。

しかし、その日は幸運にも、先約が取りやめになった関係で、高尾に会えることになりました。

こうして、晴れて高尾と一晩過ごせた久蔵は、その翌朝、彼女からこう尋ねられます。

高尾

主、今度はいつ来てくんなます?

この言葉を聞いた久蔵は、嬉しいやら悲しいやらで、泣きそうになってしまいました。

久蔵

さっ、三年待ってくれ!

高尾

三年は長うござんす。

高尾

もっと早う来て。

ここで久蔵は、何もかも白状します。

自分は若旦那なんかではなく、ただの紺屋の職人だということ。

三年前に高尾に一目惚れして、それから毎日想い続けていたこと。

そして、三年間の稼ぎを、すべてこの一夜に注ぎ込んだこと。

久蔵

花魁、嘘ついてすみません。

久蔵

でも、あっしは会えないと思ってた花魁と、一夜だけでも過ごせて幸せです。

久蔵

これを思い出にして、明日からも生きていけます。

久蔵

さっきは三年待ってくれと言いましたが、三年もしたら、きっと花魁は、もうここには居ないでしょう。

久蔵

でも、この江戸で暮らしてれば、またどこかで会えるかもしれません。

久蔵

だから、花魁。

久蔵

最後に一つだけ、あっしのワガママを聞いてください!

久蔵

もし、また会うことがあったら、一言でいい。

久蔵

「久蔵はん、元気?」と声をかけてくれませんか。

久蔵

その一言を頼りに、あっしは生きていきます。

久蔵の話を静かに聞いていた高尾は、ここで涙を浮かべて口を開きます。

高尾

わちきは来年の3月15日に、年季(ねん)が明けるんざます。

高尾

そのときは、主のそばに参りんすによって、わちきのような者でも女房にしてくんなますか?

久蔵

え、どうして……?

高尾

主の正直に惚れんした。

その後、店に帰ってきた久蔵は、来年の3月15日を待ち焦がれ、また一生懸命に働きます。

背景(大通り・昼)

そうして迎えた、3月15日。

約束通り、高尾は籠に乗って、久蔵が働く紺屋を訪ねてきました。

久蔵

花魁、来てくれたんですね。

高尾

3月15日ざましょ?

久蔵

ええ、本当によく来てくれました。

高尾

久蔵はん……元気?

晴れて妻を迎え、親方の計らいで店から独立もした久蔵。

新たに構えた紺屋で、夫婦揃って睦まじく働きました。

その店は、江戸で一番の美女と噂された高尾がいるということで、すぐに大勢の客が集まり、大変に繁盛したそうで。

世にいう紺屋高尾の一席でございます。

ー完ー

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「紺屋高尾」の豆知識

  • もともと講談にあった噺を、落語に持ってきたネタ。
  • 六代目 三遊亭圓生が得意としていた。
  • 別題は『駄染高尾』『かめのぞき』。
  • よく似た噺に『幾代餅』がある。
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