落語「子ほめ」のあらすじ・オチ・豆知識を紹介!

「おや、この赤ん坊、お前のお爺さんに似てるね?」
「子ほめ」のあらすじ

話は、八五郎がご隠居の家を訪ねるところから始まります。
こんちは。
おう、八つぁんかい。
何か用か?
いや、ご隠居のとこに「タダの酒」があると聞いたんで、飲ませてもらおうと思って。
うちにあるのは、「タダの酒」じゃないよ。
灘に住んでる親戚が送ってくれた、「ナダの酒」だ。
まぁ、なんでもいいから、飲ませてくださいよ!
そんなに酒が飲みたいなら、私が飲ませたくなるようなことをしてみなよ。
「飲ませたくなるようなこと」って?
私が嬉しくなることを言うんだよ。
よっ、ご隠居!あんたは偉い!
そんな風に、漠然と褒められてもなぁ。
八つぁんは、人を褒めるのが下手だね。
そんなこと言うなら、褒め方を教えてくださいよ!
いいだろう。
例えば、知り合いに久しぶりに会ったら何て言う?
この野郎、まだ生きてやがったのか!
そんな乱暴なことを言っちゃダメだ。
そういうときはな、「しばらくお見えになりませんでしたが、どこかへお出かけでしたか?」なんて聞いてみる。
ほう。
それで、相手が地方に商売に行ってたのであれば、「なるほど。どうりでお顔の色が黒くなりましたな」とでも言うんだ。
「顔が黒くなった」って言われて、相手は嬉しいですかね?
黒くなったということは、それだけ一生懸命、働いたってことだ。
だから、暗に相手の働きぶりを褒めることになるんだよ。
なるほどねぇ。
でも、色白のままでいたかった人もいませんかね?
そういう人には、「あなたはもともと顔が白いですから、地元の水で洗えば、すぐに戻りますよ」とでも言ってやりなさい。
そりゃいいや。
ほかにも、何かいい褒め方があります?
相手の見た目が若いのを褒めるのもいいぞ。
年齢を聞いて、相手が「45」と答えたら、「お若いですなぁ。どう見ても厄そこそこにしか見えません」ってな具合にな。
「100そこそこ」って言われて、相手は喜ぶんですか?
「厄そこそこ」だ。
男の大厄は42歳だろ?
本当は45歳のところを、「3歳くらい若く見える」と褒めてるんだよ。
そういうことか。
じゃあ、子どもは、どうやって褒めたらいいんです?
ん?どうして子どもを褒めたいんだ?
俺の友達の“竹”って奴のとこに、この間、子どもが産まれたんですよ。
祝いに行くがてら、子どもでも褒めて、酒を飲ませてもらおうと思って。
お前は、酒を飲むことばかり考えてるねぇ。

子どもの褒め方か……そしたら、こんなのはどうだ?
この子は、あなたのお子さんでございますか。
亡くなられたお爺さんに似て、たいそう福々しゅうございますね。
「栴檀は双葉より芳し」「蛇は一寸にして人を呑む」
こういうお子さんに、あやかりたい、あやかりたい。
「栴檀は双葉より芳し」
香木の栴檀は、双葉として芽吹いたときから、いい香りがする。
「蛇は一寸にして人を呑む」
蛇は「一寸=約3cm」ほどの小さいときから、人を丸呑みしようとする気概がある。
以上から、この2つのことわざは、「大物になる人は、子どもの頃から人並み外れている」ことを例えたもの。
なんだか、お経みたいですね。
なら、お経だと思って、丸々覚えちゃいなよ。
よし。
じゃあ、忘れないうちに、さっそく竹んとこ行って褒めてきます!

そう言って、ご隠居の家を後にした八五郎。
竹の家に向かっている道中で、知り合いの酒屋の番頭と出くわします。
ここで八五郎は、先ほどご隠居に教わった褒め方を試してみることにしました。
番頭さん、こんちは。
お、町内の色男じゃないか!
なんだい、先に褒められちまったよ……。
お久しぶりですね。
いや、久しぶりじゃないよ。
昨日も湯屋で会ったじゃないか。
でも、そこで会う前は、しばらく会ってなかったでしょ?
まぁ、たしかに、そうだったな。
どこかへお出かけでしたか?
実は、仕事で上方に行ってたんだ。
よっ!どうりでお顔の色が黒くなったと思いました。
ほう、そうかい?
でも、あなたはもともと顔が……黒かったですね。
まぁ、どっちかと言えばそうだな。
だから、地元の水で顔を洗っても……黒いままだね。
何が言いたいんだ?
えーと……ときに番頭さん。
お年はおいくつ?
40だが……。
40歳とはお若く見える!
どう見ても厄……ってあれ?
ん?どうしたんだ?
男の厄年は、42ですよね?
そうだな。
そっか……。
すみませんが、今だけ45歳になってください!
ええっ!?どういうことだよ?
いいから、いいから!
「私は45歳です」って言ってくださいよ!
おかしな奴だな……。
「私は45歳です」
これでいいのか?
45歳とはお若く見える!
どう見ても、厄そこそこ!
いや、40なんだから、まだ厄年じゃないよ!
忙しいから、これで失礼するよ!

こんなことがありながら、八五郎はやっと目的地の竹の家に到着します。
おう、竹。来たぞ。
やあ、八つぁんかい。よく来てくれたな!
子どもが産まれて、弱ってるんだって?
祝ってるんだよ!
その子どもは、どこにいるんだ?
隣の部屋で寝てるよ。
そうかい。
ちょっと顔を見させてもらうよ。
どうぞ。
おや、この赤ん坊、お前のお爺さんに似てるね?
お、そうかな?
ああ。
顔が皺だらけで、禿げちゃってるとこなんて、そっくりだ!
それは、昼寝してる、うちのお爺さんだよ!
なぁんだ。子どもにしては、やけに大きいと思ったんだ……。
あ、こっちに落っこちてたよ。
そんな言い方するな!
寝かしてるんだよ!
えー……このお子さんは、あなたのお子さんですか?
何を改まって聞いてきてんだ。
俺の子だよ。
本当にそうかなぁ?
バカなこと言うな!
お顔は、死んだお爺さんに似てますね。
お爺さんなら、まだ死なずに、そこで昼寝してるよ!
「洗濯はニ晩では乾かず」「蛇は一寸だと短い」
こういうお子さんに、あやかりたい〜、首吊りたい〜。
おいおい。
さっきから、何を言ってるんだ?
それにしても、この子はお人形さんみたいだねぇ。
お、そう言われると、嬉しいねぇ。
本当に人形みたいだ。
腹のとこを手で押すと、キューキュー音がするよ。
変なことをするな!
ときに、このお子さんのお年は、おいくつですか?
おいくつもなにも、この前、産まれたばかりだよ!
それはお若く見えますね。
「どう見ても、まだ産まれてないみたいだ」
ー完ー
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「子ほめ」のオチ(サゲ)
「子ほめ」のオチには、いくつか種類があります。
まず、前提知識として、江戸時代は「数え年」で年齢を表記していたので、生まれたときは「1歳」でした。
そこで、竹に子どもの年齢を「1歳」と答えさせ、八五郎の「どう見ても“半分”だ」でサゲるパターンがあります。
また、最後のセリフは、冒頭の「タダの酒」とかけて、「どう見ても“タダ”だ」とするのも1つのパターンです。
「子ほめ」の豆知識
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まず注目すべきは、声優陣の豪華さ。
- 関智一:スネ夫(ドラえもん)etc.
- 石田彰:渚カヲル(エヴァンゲリオン)etc.
- 山寺宏一:ジーニー(アラジン)etc.
- 林原めぐみ:灰原哀(名探偵コナン)etc.
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