「読書感想文のせいで、全然夏休みを楽しめない!」
本を読むのが苦手な方にとって、読書感想文はただの苦行になりかねません。
実は、今では読書が趣味の私も、小中学生時代は読書感想文は苦手な宿題の1つでした。
このように読書感想文が嫌われがちな理由の1つに、「いまいち書き方がわからない」ことが挙げられます。
そこで本記事では、元司書のライターである私が「誰でも簡単に読書感想文を書く方法」をお伝えします。
この記事を参考にして早めに感想文を完成させ、残りの夏休みを120%楽しんでください。
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読書感想文を書く流れ7ステップ
読書感想文は、上記の7ステップで進めることで、誰でも簡単に書けます。
「工程が多い……」と感じるかもしれませんが、1つ1つのステップにそれほど多くの時間はかかりません。
選ぶ本によっては、「1日」で読書感想文を終わらせることも可能です。
さっそく、この7つのステップについて詳しく見ていきましょう。
ステップ1. 本を選ぶ
読書感想文を書くため、最初にしなければならないのは「本を選ぶ」ことです。
その際に、「好きな本を選べばいいよ」と言われることも多いですが、そもそも読書が好きではなかったら、「そんなことを言われても、どの本を選べばいいかわからない!」と困ってしまいます。
そこで今回は、読書感想文にぴったりな作品を1つ紹介します。
それは、オー・ヘンリーというアメリカの小説家が書いた『賢者の贈りもの』です。
私がこの本をおすすめするのには、以下の3つの理由があります。
- 物語がとっても短い!
- 何歳でも読める!
- 感想文を書きやすい!
まず、1つ目の理由は「物語がとっても短い」ことです。
新潮文庫版ではたったの「10ページ」なので、この文量なら本を読むのが苦手な方でもすぐに読み終わります。
続いて、2つ目の理由は「何歳でも読める」ことです。
『賢者の贈りもの』はアメリカ文学屈指の名作なので、各出版社からさまざまな年齢層向けに本が出版されています。
この絵本版であれば小学1年生でも読めるので、小・中・高の全学年で読書感想文の本として選べます。
最後の3つ目の理由は、「感想文を書きやすい」ことです。
『賢者の贈りもの』は、メッセージ性の強い作品です。
このため、「作品からのメッセージを、自分はどう受け取ったか?」ということを書くだけで、簡単に感想文が完成します。
以上の3つの理由から「どうしても読書感想文の本を決められない!」という方には、『賢者の贈りもの』がおすすめです。
本記事でも、ここから先は『賢者の贈りもの』で感想文を書く場合を例として挙げながら、説明していきます。
なお、読書感想文の本は、『賢者の贈りもの』のような「小説」でなくても構いません。
伝記でもエッセーでもノンフィクションでも、自分が読みたい本があれば、その本で読書感想文を書いてみてください。
読書感想文の本は、紙の本を購入することをおすすめします。
それは、感想文を書くためには、本に書き込みをしながら読んだ方がやりやすいのですが、電子書籍だと書き込みがしづらいからです。
また、図書館で借りた本には、そもそも書き込みをしてはいけません。
このため、家の人にお小遣いをもらって、紙の本を買うことをおすすめします。
ステップ2. 本を読む(1回目)
無事に読書感想文を書く本が決まったら、まずは一度、本を最後まで読んでみます。
この1回目の読書は、1文字1文字じっくり読む必要はありません。
「流し読み」するくらいの気持ちで、気軽にパラパラと読めばOKです。
ここでは、「物語に登場する人物の中で、自分が一番好きなのは誰か?」ということだけを考えながら読んでください。
1回目の読書では、「好きな登場人物」を見つけられたら、それで十分です。
しかし、本が苦手な方は「何回も同じ本を読みたくない!」と感じるかもしれません。
そういう方のために、『賢者の贈りもの』については、4分であらすじがわかる動画を作りました。
この動画を見ることで、「1回目の読書」が終わったことにしても構いません。
なお、『賢者の贈りもの』以外でも、映画化されている作品はこの方法を応用できます。
映画を観て、「好きな登場人物」を見つけられたら、この「1回目の読書」のステップは飛ばしても差し支えありません。
ただし、原作と映画でストーリーが大きく違うこともあるので、その点には注意してください。
ステップ3. 本を読む(2回目)
1回ざっくりと本を読んだことで、「好きな登場人物」と「なんとなくのあらすじ」が頭に入っているかと思います。
その上で今度は、赤ペンで本にマークをつけながら、じっくりと本を読んでみてください。
赤ペンでマークをつけるのは、以下の2箇所です。
- 好きな登場人物の名前が出てくるところ
- その人物の気になるセリフや行動
まずは、好きな登場人物の名前が出てきたら、その都度、下記のように赤ペンで四角く囲ってください。
ここでは、「彼」や「彼女」などで表記されている部分も、漏れがないようにマークをつけます。
続いて、その人物が話した「セリフ」や起こした「行動」で、気になるものがあれば、赤ペンで傍線を入れてください。
さらに、そこで自分が感じたことを余白にメモしておくと、あとで感想文が書きやすくなります。
この2箇所に赤ペンを付けながら、じっくりと本を読んでみてください。
ステップ4. 設計図を作る
ステップ4は、読書感想文の「設計図」を作ることです。
多くの方は、本を読み終わったらすぐに感想文を書き始めてしまいます。
しかし、そうやって書き始めたはいいものの、途中で何を書けばいいのかわからなくなった経験はありませんか?
そこでペンが止まると、一気にやる気がなくなってしまうものです。
このような事態を防ぐため、まずは感想文の「設計図」を書くことをおすすめします。
設計図を作るのは、一見面倒くさそうに思えますが、それほど時間をかけずに作れます。
しかも、設計図さえ作ってしまえば、感想文を書くときはそれに沿って書くだけなので、途中でペンが止まることはありません。
このため実は、設計図を作ることは、読書感想文を完成させる近道になります。
設計図のテンプレートは、以下のとおりです。
この枠をすべて埋めれば、自動的に設計図が完成します。
紙を用意する
設計図を作るため、まずはA3くらいの紙を用意してください。
A3の紙がなければ、A4の紙を2枚つなげたり、大きめのノートを見開きで使ったりしても構いません。
ここで大事なことは、大きな紙を使うことです。
紙が小さいと、あとあと設計図が作りづらくなるので、必ず大きな紙を使ってください。
紙が用意できたら、下の画像を参考にして、設計図の型を作ります。
「読んだ本」の欄を埋める
設計図の型ができたら、さっそく中を埋めていきましょう。
まずは、①の「読んだ本」の欄に、本の題名と筆者の名前を記入してください。
「あらすじ」の欄を埋める
続いて、②の「あらすじ」の欄に、「いつ」「どこで」「だれが」「何をした」か、順に入れていきます。
「いつ」や「どこで」は、作品によっては書かれていないこともありますので、そういう場合には「?」を入れておけばOKです。
また、「だれが」の欄には、物語に一番登場する回数の多い、「主人公」だといえる人物の名前を入れるようにしてください。
その主人公の行動を「何をした」の欄に4場面くらいに分けて記入すると、簡単なあらすじになります。
ただし、物語全体を4つに分けるのが難しければ、3つに減らしてもいいですし、5つに増やしても構いません。
自分が書きやすいように、枠を足したり減らしたりして、調整してください。
「好きな登場人物」の欄を埋める
最後に③の「好きな登場人物」の欄を埋めていきます。
まずは、自分が好きな登場人物の「名前」と「どんな人」かを書いてください。
ここで、「どんな人?」の欄に何を書くべきか迷ったら、読んだ本にはその人が登場する部分に印がついているので、そこだけ読み返してみると書くことが浮かんできやすくなります。
続いて、その人が作中で言った「セリフ」や「起こした行動」で、一番気になったものを書きます。
この部分は、本を読んだときに赤線を引いた部分から選びます。
これが書けたら、そのセリフや行動に対して、自分が感じたことを書いてください。
最後に、この登場人物のように自分は「なりたい」か、それとも「なりたくない」かを考えて、該当する方に丸を付けます。
そして、その人のように「なる」もしくは「ならない」ために、自分は何をしたらいいのかも考えてみてください。
ステップ5. 適当に書いてみる
設計図ができたら、読書感想文はもう50%以上完成しています。
とりあえず、設計図に書いた内容が上から順番につながるように、文章にしてみましょう。
ここで書くのはあくまで「仮の感想文」で、あとで清書もするので、きれいな字で書く必要はありません。
ただし、完成した文章の文字数だけはチェックしたいので、ここでは「原稿用紙」を使ってください。
「題名」を書く
まずは、最初の行の上から「1〜3マス」を空けて、読書感想文の題名を書きます。
空けるマスの数は、学校で指定されていると思うので、それに従ってください。
題名はとりあえず、『〇〇を読んで』で構いません。
あとで良い題名が浮かべば変えればいいし、思いつかなければこのままでもOKです。
「名前」を記入する
続いて、2行目には自分の名前を記入します。
ここでは、一番下に1マス空くように調整して書いてください。
「題名」と「筆者」のことを書く
3行目の一番上を1マス空けたところから、感想文を書き始めます。
まずは、設計図の下記の部分を見て、読んだ本の題名と筆者のことを書きましょう。
簡単な「あらすじ」を書く
続いて、設計図の「あらすじ」の欄に書いたことを、上から順番に、文章がつながるように書いていきます。
「好きな登場人物」について書く
最後に、設計図の「好きな登場人物」の欄に書いた内容を、あらすじと同様に上手くつなげて書いたら、仮の読書感想文が完成です。
ステップ6. 文字数を調整する
ここまでのステップで、仮の読書感想文が完成したら、文字数をチェックしてみてください。
この時点で、学校から指定された文字数を満たしていたら、あとは同じ内容をきれいな字で清書すれば、読書感想文は完成です。
しかし、多くの方は、この時点ではまだ文字数が足りていないはずです。
そこで、文字数を増やすために、仮の感想文に「新しい要素」を追加していきましょう。
文字数を増やすための具体的な方法には、以下の7つがあります。
ここからは、この7つの方法の詳細を順に紹介していきます。
方法1. 気になったセリフ・行動を追加する
文字数を増やすために、一番おすすめの方法は、「好きな登場人物の気になったセリフ・行動を追加する」ことです。
読んだ本にはすでに、気になったセリフや行動の部分に赤線が引いてあります。
それを「仮の感想文」に追加すれば、文字数を簡単に増やせます。
具体的には、「気になったセリフ・行動」について書いた箇所の直後に、「また」「ほかにも」という接続詞を入れて、2つ目のセリフや行動を追記してください。
そして、そのセリフ・行動について、自分が感じたことも書き足します。
実際に作業する際は、下記のように文章を追加する部分に赤いペンで印をつけて、数字を振るのがおすすめです。
その上で、仮の感想文の一番最後の行のところに赤ペンで線を入れて、欄外に先ほどの数字を記入してから、追加する文章を書いていくと、感想文全体の文字数がどれほどになったか把握しやすくなります。
方法2. 本との出会いを書く
「これ以上、気になったセリフ・行動はないのに、まだ文字数が足りない!」という場合には、冒頭に「本との出会い」を書くのがおすすめです。
「本との出会い」については、「どこで見つけたか」「どうして読もうと思ったのか」「読む前の印象はどうだったのか」など、書けることがたくさんあります。
「本との出会い」について書く際は、冒頭で題名と筆者について書いた直後だと、違和感なく書き足せます。
具体的な書き足し方の例は、下記のとおりです。
(例)
今回、私が読んだのは、オー・ヘンリーが書いた『賢者の贈りもの』という本です。
この本は、読書感想文を書くための本を探しに、本屋さんに行ったときに見つけました。私がこの本を手に取ったのは、表紙の絵がとても気に入ったからです。
『賢者の贈りもの』という作品は〜〜
方法3. タイトルの意味を考える
少し難易度は高いですが、「タイトルの意味を考える」と、一気に良い読書感想文っぽくなります。
この要素を追加する場合は、感想文の一番最後に書くのがおすすめです。
(例)
最後に、この作品の『賢者の贈りもの』というタイトルについて考えたいと思います。このタイトルは〜〜
方法4. 筆者について詳しく書く
ここまで紹介した方法で指定の文字数をクリアできなかった場合には、「筆者について詳しく書く」のがおすすめです。
筆者の経歴やほかの作品について書くことで、ある程度は文字数を増やせます。
ただし、インターネットで筆者について調べて、ウィキペディアなどの文章をコピペするのはNGです。
筆者の紹介は、本の最後の方に「解説」として載っていることが多いので、それを参考にして、「自分の言葉」でまとめてみてください。
「筆者の詳細」を追加する箇所は、下記のように、冒頭で本の題名と筆者の名前を書いたすぐ後がおすすめです。
(例)
今回、私が読んだのは、オー・ヘンリーが書いた『賢者の贈りもの』という本です。
オー・ヘンリーは、1862年にアメリカのノースカロライナ州で生まれた作家で、短編小説を多く発表しました。『賢者の贈りもの』のほかにも、『最後の一葉』『1ドルの価値』などの作品があります。
この『賢者の贈りもの』という作品は〜〜
方法5. 作品が書かれた背景を書く
筆者について詳しく書くことに加えて、「作品が書かれた背景」も紹介すると、さらに文字数を増やせます。
作品の背景も、本の最後に「解説」として紹介されていることがあるので、それを参考にまとめてみてください。
方法6. あらすじを詳しくする
あまりおすすめはできませんが、「あらすじを詳しくする」のも文字数を増やす1つの方法です。
ただし、「あらすじ紹介」の部分が多くなればなるほど、「感想」の比率が小さくなります。
このため、一般的にあらすじ紹介の多い感想文は評価が低くなりやすいので、そのことは覚悟しておかなければなりません。
それでも、「どうしても文字数が足りない!」という場合には、「最後の手段」として使うのも一手です。
方法7. 自分のエピソードから感想文につなげる
難易度はかなり高いですが、本の感想に入る前に「自分のエピソード」を入れられると、おもしろい読書感想文になります。
読書感想文に力を入れたい人は、よかったら挑戦してみてください。
例えば、『賢者の贈りもの』は「クリスマス・プレゼント」が物語のキーになる作品です。
そこで、はじめに「自分が過去にもらったクリスマス・プレゼント」のエピソードについて書き、「この作品も、クリスマス・プレゼントが重要な役割を果たすのですが……」と、自然に感想文に入っていくのも一手です。
ステップ7. 清書する
さて、ステップ6で紹介した方法で要素を追加し、感想文が規定の文字数に達したら、いよいよ最後のステップの「清書」です。
新しい原稿用紙を出して、これまで書いた感想文をきれいな字で書いていってください。
もしも余裕があれば、書き終わった後で、できあがった文章を「音読」するのがおすすめです。
声に出してみて、「読み上げづらい」「変な感じがする」という部分は、ほかの人が読んだときに意味をとらえにくい可能性が高いです。
そこを修正できれば、さらに良い感想文になります。
そうしてすべての修正が終われば、見事、読書感想文は完成です。
まとめ
以上、読書感想文を書くときの流れを7ステップで紹介しました。
この流れに沿って進めていけば、誰でも簡単に読書感想文が書けますので、早めに宿題を終わらせて、残りの夏休みを大いに楽しんでください!
▼各出版社から出ている『賢者の贈りもの』