太宰治のことをたくさん知りたいんだけど、おすすめの本ってある?
あるぞ。そしたら、「太宰を知るための参考図書」をいくつか教えてあげよう。
今回は、太宰治の作品を読んだりして、「太宰のことをもっと知りたい!」と思い始めた方へ向けて、おすすめの書籍を5冊紹介します。
紹介したなかで気になる本があれば、ぜひ実際に手に取って読んでみてください。
参考書籍1. 太宰治全集
書名:太宰治全集 全10巻セット(ちくま文庫)
著者:太宰治
出版社:筑摩書房
発行日:1989年10月1日
作家のことを深く知りたいのであれば、一番手っ取り早いのは「全集を買って、すべての作品を読んでしまう」ことです。
できれば、作品が書かれた順番に読んでいくと、作者の「考え方」や「書き方」の変化を感じ取れます。
このちくま文庫の太宰治全集は、おおむね発表順に並べられており、文庫サイズなので持ち運びも便利です。
「太宰のことを知りたい!」と思っている方は、兎にも角にも、この全集を買って読むことをおすすめします。
ちなみに、太宰自身も「全集」というものについて、随筆のなかで言及したことがあります。
興味深い文章ですので、一緒に見てみましょう。
日本では偉い作家が死んで、そのあとで上梓する全集へ、必ず書簡集なるものが一冊か二冊、添えられてある。-中略-
作家の、書簡、手帳の破片、それから、作家御十歳の折の文章、自由画。私には、すべてくだらない。-中略-
あかの他人のかれこれ容喙すべき(注:横から口を出すべき)事がらでない。-中略-
かつて私は、書簡もなければ日記もない、詩十篇ぐらいに訳詩十篇ぐらいの、いい遺作集を愛読したことがある。
富永太郎というひとのものであるが、あの中の詩二篇、訳詩一篇は、いまでも私の暗い胸のなかに灯をともす。
太宰治『もの思う葦』の「書簡集」より
これを読む限り、太宰は全集に作品以外の余計なものが収録されるのを嫌っていたと考えられます。
このちくま文庫版の全集は、太宰の遺志を汲み取ってか、おおやけに発表された作品のみの収録です。
「太宰が学生時代に書いた作品」や「書簡」などを読みたい場合は、下記の「決定版」の全集でなければなりません。
ただし、この全集はとても高額ですので、読みたい部分のみ図書館でチェックすることをおすすめします。
ちなみに、太宰が学生時代に書いた作品は、新潮文庫で出ている『地図-初期作品集-』にも収録されています。
これを購入すれば、学生時代の作品のうち、未完の長編である『無間奈落』『地主一代』『学生群』以外は読めますので、「ちくまの全集」+「地図」で、公表されたほぼすべての作品は網羅できることになります。
参考書籍2. 太宰治(新潮日本文学アルバムシリーズ)
書名:新潮日本文学アルバム 19 太宰治
著者:太宰治
出版社:新潮社
発行日:1983年9月1日
新潮日本文学アルバムシリーズの『太宰治』では、太宰の生涯が豊富な写真とともに紹介されています。
111ページと、割とページ数が少なく、ページの大半が写真で埋まっているため、すぐに読めてしまいます。
「全集を読破するのは、ちょっと大変……」「とりあえず、太宰の生涯をざっくりと知りたい!」という方には、本書がおすすめです。
参考書籍3. 評伝 太宰治
書名:評伝 太宰治〈上・下〉
著者:相馬 正一
出版社:津軽書房
発行日:1995年3月1日
『評伝 太宰治』は、太宰研究の第一人者である、岐阜女子大学名誉教授の相馬正一氏が書いた、「太宰の伝記の決定版」といえる書籍です。
上下巻に分かれていて、新品だとそれぞれ6,000円以上する高額な本ですが、太宰の人生を一連の流れでつかむうえでは、これ以上の参考図書はありません。
参考書籍4. 太宰治の年譜
書名:太宰治の年譜
著者:山内祥史
出版社:大修館書店
発行日:2012年12月6日
『太宰治の年譜』は、太宰の生涯を、年表の形式でまとめた本です。
最初から順番に読んでいくことで、太宰の人生で起こったさまざまな出来事を、時系列順に見ることができます。
また、巻末には「作品名」と「人物名」に分けて索引がついているので、太宰関連で調べ物をするのにも便利です。
参考書籍5. 太宰治大事典
書名:太宰治大事典
編集者:志村有弘・渡部芳紀
出版社:勉誠出版
発行日:2005年1月14日
『太宰治大事典』には、太宰に関連する用語の解説が網羅的に収録されています。
調べ物をするのにとても便利で、本ブログの記事を書く際にも重宝しています。
まとめ
本記事では、太宰を知るための参考書籍として、下記の5冊を紹介しました。
気になる本がありましたら、ぜひ読んでみてください。
「お手軽に、ざっくりと太宰の生涯が知りたい!」という方には、『太宰治(新潮日本文学アルバムシリーズ)』がおすすめです。
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— コカツヨウヘイ|元司書のライター (@librarian__y) September 5, 2023